NBA屈指のチームディフェンスでリーグを牽引するデトロイト・ピストンズ。その圧迫守備は、相手オフェンスに極限のストレスを与える。攻撃の選択肢を一次、二次、三次と次々と消耗させ、わずかなスペースと時間すら奪う。その結果、相手はオープンシュートどころか、まともな攻撃すら組み立てられない──。そんなピストンズのディフェンスに、ジェームズ・ハーデンは完全に抑え込まれている。

直近2試合のハーデンの成績は、9本のフィールドゴール成功ながら11回のターンオーバー、3ポイントシュートは1/11という惨憺たるものだ。リーグを代表するシューターであり、ボールを保持するだけで相手を引き付ける存在であるはずのハーデンが、ピストンズのディフェンスの前では完全に機能不全に陥っている。

ハーデンの移籍の狙いと現実

クリーブランド・キャバリアーズがハーデンを獲得した理由は、ドノバン・ミッチェルの負担を軽減し、大型インサイドコンビのポテンシャルを引き出すためだった。しかし、ハーデンはリーグでも屈指の「立ち尽くし屋」として知られ、ディフェンス面ではむしろ足を引っ張る存在とされてきた。小柄なダリアス・ギャレットがピックアップされやすいのも事実だ。ハーデンはゆっくりとしたゲームペースを好み、トップからのコントロールを得意とするが、そのスタイルが通用しないのが現状だ。

2025年から2013年までのプレーオフで、ハーデンが終盤に失速するシーンは枚挙にいとまがない。今回も同様の展開が見られる。ピストンズのディフェンスは、ハーデンの守備力の低さだけでなく、オフェンス面での存在感の薄さにも注目が集まっている。第1戦の4クォーターを除けば、ハーデンはペイントエリアへの侵入すらままならない状態だ。

ピストンズの戦術とハーデンの苦戦

ピストンズが第1戦でケイド・カニングハムをハーデンに当てたのは、多くのファンを驚かせた。アウサー・トンプソンがミッチェルにマークを付ける中、ピストンズはダンカン・ロビンソンとのミスマッチを防ぐため、スーパースターをハーデンにぶつけたのだ。カニングハムの守備は見事で、ハーデンを圧倒した。しかし、プレーオフのディフェンスはチーム全体の取り組みが求められる。ピストンズはハーデンを徹底的にマークし、ターンオーバーを誘発している。ハーデンのミスの多くは、崩れるパスラインへのパスを試みた際に発生しているが、基本的には1対1の状況で委縮し、自滅するケースが目立つ。

出典: Defector