映画監督のピーター・ジャクソン氏が、カンヌ国際映画祭の名誉パルム・ドールを受賞した。同監督はこれまで、同映画祭の正式選出に選ばれたことが一度もなかった。名誉パルム・ドールは、その年の最優秀作品に贈られる競争部門のパルム・ドールとは異なり、監督の功績全体に対して授与される栄誉賞だ。
「自分の作る映画は受賞タイプではない」
ジャクソン監督は、25周年記念イベントとして開催された「ロード・オブ・ザ・リング」三部作の最初の作品公開25周年記念に合わせ、カンヌのデビュッシー劇場で行われた公開対談で、自身の受賞に対する衝撃を語った。
「自分はパルム・ドール受賞タイプの映画を作る人間ではない」と述べたジャクソン監督は、受賞の可能性について「腹話術師の賞を受賞するくらいにあり得ない」と冗談交じりに語った。さらに「パルム・ドールを受賞するために映画を作る必要がなかったのは素晴らしい」と、名誉賞ならではの感想を述べた。
ジャクソン監督はこれまでに、「ロード・オブ・ザ・リング」のプロモーション映像上映(2001年)と、デビュー作「バッド TASTE」(1988年)のカンヌ市場出展という形で同映画祭と関わってきた。その際の経験について「2度のカンヌ訪問は、いずれも記念すべき出来事だった」と語った。
「天国から来た恋人たち」と若き日のケイト・ウィンスレット
対談では、ジャクソン監督の代表作のクリップが上映された。その中には、若き日のケイト・ウィンスレットが主演を務めた「天国から来た恋人たち」(1994年)も含まれていた。同作で、ジャクソン監督は「浮浪者」役で出演し、ウィンスレットと共演した。
「ケイト・ウィンスレットに初めてのスクリーンキスを与えたのは自分だった」と明かした監督は、冗談めかして「かなり高い基準を設定してしまったのかもしれない」と語った。
「ロード・オブ・ザ・リング」とアンディ・サーキスの功績
ジャクソン監督は、未公開だった「ロード・オブ・ザ・リング」の映像をカンヌで上映したことが、同シリーズの成功につながったと振り返った。「あの映像がなければ、この大胆な賭けは実現しなかっただろう」と語った。
また、近日公開予定のスピンオフ作品「ザ・ハンティング・オブ・ゴラム」について、監督の座をアンディ・サーキスに譲る可能性について言及した。「ゴラムを誰よりも理解しているのはアンディだ。彼が監督するのが一番面白い」と述べた。
名誉パルム・ドールの歴史と受賞者
名誉パルム・ドールは、近年ますます授与される機会が増えている。過去には、マルコ・ベロッキオ、ジョージ・ルーカス、スタジオジブリ、そしてジョディ・フォスター、トム・クルーズ、ロバート・デ・ニーロ、デンゼル・ワシントンらが受賞している。今年はバーブラ・ストライサンドにも授与される予定だ。
カジュアルな受賞スピーチへの挑戦
ジャクソン監督は、フォーマルなカンヌの雰囲気を少しでも崩そうと、受賞スピーチでタキシードに短パンという奇抜なコーディネートを試みることを検討していたと語った。「タキシードに短パンというコーディネートを考えたが、結局勇気が出なかった」と明かした。