フロリダのオレンジ産業、壊滅的な打撃
オレンジジュースを飲む習慣があっても、今後は飲むこと自体が難しくなるかもしれない。世界有数の柑橘類産地であるフロリダで、オレンジの生産量が急激に減少している。その主な原因は、不治の病「カンキツグリーニング病」の蔓延だ。
「カンキツグリーニング病」とは
カンキツグリーニング病は、アジアカメムシと呼ばれる吸汁性の害虫によって媒介される細菌感染症だ。この害虫がオレンジの樹木を吸汁すると、樹木は内部から徐々に枯れていく。葉は黄色く萎縮し、果実は青く小さくなり、やがて実をつけなくなる。
フロリダ大学の研究によると、この病気に対する治療法は存在しない。感染が確認された樹木は、もはや回復することはない。
州内の全樹が感染か
調査報道メディア「スレート」がフロリダの研究者や農家に取材したところ、州内の全てのオレンジ樹が既に感染しているという回答が一致した。
米農務省(USDA)の研究者、クリーブ・ボック氏は「この病気がメキシコ湾岸全域に広がる可能性がある」と警告する。現状を踏まえると、今後数年でフロリダのオレンジ産業が完全に崩壊する可能性も否定できない。
2026年の収穫量、過去100年で最低に
2023年のフロリダ州のオレンジ生産量は、90ポンド(約41キロ)の箱で2億4200万箱だった。しかし、米農務省の推計によると、2026年の収穫量はわずか1200万箱にまで激減する見込みだ。これは、過去100年で最も低い水準となる。
フロリダ柑橘類研究開発財団(CRDF)の最高執行責任者(COO)、リック・ダンツラー氏は2026年のフロリダ柑橘類ショーで「今年はまさにゴミ箱の火事のような状態だ」と語った。
ジュース不足が現実に
オレンジジュースの消費者にとって、この状況は深刻だ。生産量の激減により、ジュースの価格上昇や品質低下が懸念される。また、パルプの有無にかかわらず、安定した供給が難しくなる可能性がある。
主な要因
- 気候変動による干ばつや異常気象
- ドナルド・トランプ前大統領時代の貿易戦争
- 都市開発による農地の減少
- カンキツグリーニング病の蔓延(最大の要因)
「この病気がメキシコ湾岸全域に広がる可能性がある。フロリダのオレンジ産業は壊滅的な打撃を受けている。」
クリーブ・ボック(米農務省研究者)