米国の企業がランサムウェア攻撃の被害に遭った際、多くの場合、第三者の交渉人が雇われ、サイバー犯罪者との交渉を担当する。理想的には、交渉人は顧客の利益を最大限に守り、被害を最小限に抑えるために尽力する。しかし、フロリダ州在住の Angelo Martino 氏(32歳)のケースでは、交渉人という立場を悪用し、自ら攻撃に加担していたことが明らかになった。
米司法省は10月28日、Martino 氏が少なくとも5社に対するランサムウェア攻撃に関与したとして、共謀罪で有罪を認めたことを公表した。ランサムウェアとは、被害者のデータやシステムへのアクセスをロックし、解除と引き換えに身代金を要求するサイバー攻撃の一種だ。病院や航空会社などの重要インフラが標的となるほか、個人の資金も奪われる危険性がある。
Martino 氏は、顧客の保険契約内容や交渉戦略といった機密情報を、サイバー犯罪者に意図的に提供していたとされる。さらに、2023年4月から11月にかけて、Ryan Goldberg 氏とKevin Martin 氏の2人のサイバーセキュリティ専門家と共謀し、自らランサムウェア攻撃を実行していた疑いも持たれている。被害を受けた企業の1社は、約120万ドル(ビットコイン)の身代金を支払い、その金額は3人で山分けされたという。
司法省によると、Martino 氏からは暗号資産やフードトラック、高級釣り船など、総額1000万ドル相当の資産が押収された。同氏は複数の罪状で最大40年の実刑判決を受ける可能性があり、今後の裁判で詳細が明らかになる見通しだ。
ランサムウェア被害の拡大と新たな脅威
近年、ランサムウェア攻撃はますます巧妙化しており、AI技術を悪用した攻撃も増加している。サイバー犯罪者は、AIを活用して標的のシステムを分析し、より効果的な攻撃手法を編み出しているほか、ディープフェイク技術を用いた詐欺行為にも悪用されている。企業や個人は、こうした新たな脅威に対する対策を急務としている。