米国時間5月12日、ノースカロライナ州選出の共和党議員、トム・ティリス上院議員は、連邦準備制度理事会(FRB)の新議長候補を承認すると表明した。その背景には、司法省がFRBの現議長であるジェローム・パウエル氏に対する捜査を終了するとの「保証」を与えたことがあった。

ティリス議員はX(旧Twitter)上で発表した声明で、「FRBの独立性に対する深刻な脅威であったパウエル議長に対する米国検事局の刑事捜査は、司法省の説明を信頼する」と述べた。「捜査は終了した」と明言した。

この問題の発端は、司法省がFRBのワシントン本部改修費用に関する刑事捜査を開始したことだった。しかし、5月10日にはワシントン地区の米検事であるジャニーン・ピロ検事がX上で、自身の事務所が捜査を終了すると発表。同時に、FRB監察官がプロジェクト費用の調査を実施中であることも明らかにした。

ピロ検事は声明の最後に、「事実に基づき必要であれば、捜査を再開することを躊躇しない」と警告を発した。

ティリス議員にとっては勝利と映るこの発表だが、司法省を全面的に信頼することがこれまでどれほど「安全」だっただろうか。

トランプ前大統領は5月11日、ピロ検事の発表に対し疑問を呈した。「捜査は終了していない。彼らは全体を調査中だ」と発言。「私が手掛ければ2500万ドルで済むビルが、なぜ40億ドルもかかったのか」と指摘した。

Q: 「ピロ検事によるパウエル議長に対する捜査終了の判断について、賛成ですか?」
トランプ: 「捜査は終了していない。彼らは全体を調査中だ」
— The Bulwark (@thebulwark.com) 2026-04-25T19:25:24.171Z

経済の立て直しと生活費の負担軽減を求める圧力がトランプ前大統領に高まる中、FRBの利下げを繰り返し要求していた。新たにFRB議長候補に指名されたケビン・ウォーシュ氏もこれに同調していた。しかし、2017年にトランプ前大統領によってFRB議長に指名されたパウエル氏は、利下げを見送り、FRBの独立性を堅持していた。

1月に司法省の捜査が報じられた際、多くの議員が「これは大統領によるFRBの独立性への公然たる圧力の一環」と指摘していた。

ティリス議員は当時、「トランプ政権はFRBの独立性を積極的に脅かしていた」と述べ、さらに「今や司法省の独立性と信頼性こそが問われている」と批判。新たなFRB議長候補の承認には、この問題が「完全に解決されるまで」反対すると表明していた。

先週行われたウォーシュ氏の承認聴聞会でも、ティリス議員は「ウォーシュ氏は優れた資質を持つ」としながらも、司法省の捜査が終了するまでは承認に反対すると再度表明していた。しかし、その「保証」が覆された形となった。