米国メイン州の民主党内で、進歩派と穏健派の対立が激化する中、同州のジャネット・ミルズ知事が連邦上院議員選挙からの撤退を発表した。これにより、民主党内の若手進歩派を代表するグラハム・プラットナーの勝利が事実上確定し、民主党は一時的な勝利を収めた。
しかし、この勝利が真の勝利となるかどうかは、11月の本選挙でプラットナーが当選するかにかかっている。民主党にとって、メイン州は今年の中間選挙で議席奪還の最も有力なターゲットとされてきた。現在の議席数では、民主党が上院で過半数を獲得するためには4議席の奪還が必要だが、メイン州はその最も有力な候補地だった。なぜなら、現職のスーザン・コリンズ共和党議員が、2024年の大統領選挙でカマラ・ハリス候補が勝利した州で改選を迎える唯一の共和党議員だったからだ。
民主党内の分裂を象徴する選挙戦
この選挙戦は、民主党内の世代間・イデオロギー間の対立を象徴するものでもあった。78歳のミルズ知事は、党内の若手進歩派から「80代の大統領が再選を目指したように、時代遅れの指導者」と見なされていた。彼女は党の穏健派幹部であるチャック・シューマー上院議員らに推されて立候補したが、進歩派からは「弱腰で非効果的」と批判されていた。
一方、プラットナーは、労働者階級出身の牡蠣養殖業者であり、海兵隊経験者でもある。政策面では、進歩派の立場を鮮明に打ち出し、エリザベス・ウォーレンやバーニー・サンダース上院議員の支持を得ている。また、ニューヨーク市長選挙で活躍した顧問団からも支援を受けている。
プラットナーの支持者らは、彼の経歴が「大学卒業資格のない白人男性層」とのつながりを強めるきっかけになると期待している。しかし、その一方で、民主党内には「白人男性への安易な迎合」との批判も根強い。
選挙戦の行方を左右した要因
ミルズ知事が10月に選挙戦を開始した際、プラットナーはすでに選挙戦を展開していた。その後の世論調査では、プラットナーがミルズを大きくリードする結果となった。その背景には、プラットナーの積極的な選挙活動があった。最新の選挙分析番組「Right Now」に出演した「Midcoast Villager」の副編集長アレックス・ザイツ=ワルド氏は、プラットナーが選挙イベントをミルズよりもはるかに多く開催していたことが支持率上昇につながったと指摘した。
また、若年層(35歳未満)の間でプラットナーへの支持が圧倒的に高かったことも、選挙戦の行方を左右した。この世代は、民主党の穏健派に対する敵意が強く、進歩派を支持する傾向が顕著だった。ザイツ=ワルド氏は、この選挙戦が民主党内の構造的な問題を浮き彫りにしたと分析している。
「民主党は、進歩派と穏健派の対立を克服しなければ、将来の選挙で勝利を収めることは難しいだろう。メイン州の選挙は、その象徴的な事例となった。」
— アレックス・ザイツ=ワルド(Midcoast Villager副編集長)
民主党にとって、プラットナーの当選は進歩派の勝利を意味するが、敗北は党内の分裂をさらに深めるリスクをはらんでいる。11月の本選挙が注目される。