1997年に公開された「モタルコンバット:アニヒレーション」は、シリーズの前作と比較され、批評家から酷評された。中でも有名なシーンが、紫の衣装の女性が二人の忍者の間に立つ場面だ。下の若い女性が「母上…生きていらっしゃったのですね」と言うと、カメラは紫の衣装の女性にクローズアップされる。彼女は「残念だが…お前たちは死ぬ!」と大げさに指をさす。このシーンは映画開始4分で起こり、以後30年にわたりファンの間でシリーズの質の低下を象徴するものとされてきた。
しかし、2023年に公開された「モタルコンバット」のリブート版が高い評価を受ける中、当時の馬鹿馬鹿しさを見直すと、改めて「この状況で、どうやって母親が娘に自分が生きていて地球界を征服するつもりだと伝えるのか?」という疑問が浮かぶ。確かに、この映画はストーリーの整合性に欠け、特殊効果も1997年の時点で安っぽく見えた(予算3000万ドルは前作の2000万ドルより高額だった)。しかし、その後のハリウッドのリメイク版2作が高い評価を受けた今だからこそ、シリーズの馬鹿馬鹿しさが逆に愛おしく感じられるのだ。
シリーズの馬鹿馬鹿しさを象徴する存在
「モタルコンバット:アニヒレーション」は、ジョン・R・レオンティ監督、ブレント・V・フリードマンとブライス・ザベル脚本により制作された。前作のラストで地球界の英雄たち(リュウ・カン、ソニア・ブレイド、ジョニー・ケージ)が魔術師シャン・ツンを打ち破ったにもかかわらず、外界の皇帝シャオ・カーン(ブライアン・トンプソン)は地球界侵攻を企てていた。彼の配下には、女王シンダル(ムセッタ・ヴァンダー)、シェーヴァ(マージーン・ホルデン)、スモーク(リドリー・ツイ)、エルマック(ジョン・メドレン)、モタロ(デロン・マクビー)がいた。
前作との連続性は保たれているものの、キャストや演出は大きく異なっていた。例えば、リュウ・カン役のロビン・ショウとキタナ役のタリサ・ソトは続投したが、ライデン役はクリストファー・ランバートからジェームズ・レマーに交代。ソニア役はブリジット・ウィルソンからサンドラ・ヘスに、ジョニー・ケージ役はリンドン・アッシュビーからクリス・コンラッドに変更された。ジョニー・ケージはわずか5分でシャオ・カーンに首を折られてしまう。
前作同様、この映画もシリーズの特徴である馬鹿馬鹿しさと稚拙なプロットが目立つ。例えば、サブ・ゼロのキャラクターは前作と同様に扱われたが、より一層不自然な展開が目立った。
馬鹿馬鹿しさが逆に魅力に変わる理由
当時の批評家やファンは、この映画をシリーズの失敗作と見なしていた。しかし、時代が経ち、リメイク版の「モタルコンバット」(2021年)や「モタルコンバット2」(2024年)が高い評価を受ける中で、当時の馬鹿馬鹿しさが逆に愛おしく感じられるようになった。当時の特殊効果やプロットの稚拙さが、今ではシリーズの独特な魅力として受け入れられつつある。
特に、シリーズの象徴的な存在であるノーブ・サイボットや、馬鹿馬鹿しいほどに大げさな台詞回し、そして時代を感じさせる特殊効果が、今だからこそ楽しめる要素となっている。当時は失敗作とされていたが、今見返すと、シリーズの馬鹿馬鹿しさが逆に愛おしく感じられるのだ。