「スリーパーズ」30周年記念版発売を機に語られる監督の思い
バリー・レヴィンソン監督のキャリアは、1982年のデビュー作「ディナー」から始まった。その後、1980年代から1990年代にかけて、野球ドラマ「ナチュラル」(1984年)、アドベンチャー「若きシャーロック・ホームズ」(1985年)、コメディ「グッドモーニング・ベトナム」(1987年)、アカデミー賞受賞作「レインマン」(1988年)や「バグジー」(1991年)など、多様なジャンルで数々の名作を生み出した。また、自身の出身地ボルチモアを舞台にした「ティンメン」(1987年)や「アヴァロン」(1990年)も人気を博した。
しかし、レヴィンソン監督の作品の中で最も物議を醸したのが、1996年に公開された「スリーパーズ」だ。この作品は、少年時代に虐待を受けた4人の青年が、数十年後に加害者への復讐を果たすという衝撃的なストーリーで、スティーヴン・グーリンプロデューサーの提案により制作が決定した。
虐待と復讐の物語が生まれた経緯
「スリーパーズ」の原作はロレンゾ・カルカテラの1995年の小説で、カルカテラ自身の実体験に基づくと言われている。レヴィンソン監督は、プロデューサーのグーリンからこの本を紹介された際、脚本執筆を引き受ける決意をした。
「私はただ、この物語に魅了されたんです。復讐映画を作りたいと思ったわけではありません。子供たちがソーセージ屋のカートを盗んで事故を起こし、少年院に送られるという出来事から始まり、そこで性的虐待が行われる。その後、数十年を経て、彼らは復讐を果たす──。この一連の流れがいかにして起きたのか、その過程を描きたかったのです」
バリー・レヴィンソン監督
監督は、この物語が特定の政治的立場を主張するものではなく、単に因果関係の連鎖を描くことに重きを置いたと語る。また、作品が公開された当時、多くの観客や批評家から賛否両論の反応を受けたが、レヴィンソン監督は「作品が特定の立場を取ることはない。ただ、事実として何が起きたのかを伝えたかった」と述べている。
豪華キャストの起用とスケジュール調整の難しさ
「スリーパーズ」には、ブラッド・ピット、ケヴィン・ベーコン、ロバート・デ・ニーロ、ダスティン・ホフマン、ブルーノ・カービー、ビリー・クラダップ、ミニー・ドライヴァーら豪華キャストが集結した。レヴィンソン監督は、彼らがこぞって出演を希望したわけではなく、むしろスケジュール調整が最大の課題だったと明かす。
「ブラッド・ピットとは話をして、彼が『いいね』と言ってくれました。ロバート・デ・ニーロは比較的早く決まりましたが、ダスティン・ホフマンはスケジュールの都合で難航しました。ヴィットリオ・ガスマンはイタリアから呼び寄せる必要がありました」と監督は振り返る。しかし、最終的にキャストが揃い、撮影は順調に進んだという。
30周年記念4K Blu-ray版の発売
この度、 Warner Bros.から「スリーパーズ」の30周年記念4K Blu-ray版が発売された。監督によれば、このバージョンはこれまでで最も美しい映像と音響で鑑賞できるという。
「この作品は公開当時から議論を巻き起こしましたが、今でも多くの人に語り継がれています。30年を経て、新しい技術で蘇るこの作品を、ぜひ多くの方に見ていただきたいです」とレヴィンソン監督は語っている。