デッドプールは常に自分が映画の主人公であることを自覚していた。2016年の初主演作以来、第四の壁を超えて観客と直接対話する「口の悪い傭兵」は、常に注目を集める存在だった。X-Forceやウルヴァリンとの共演作でも、その中心にいたのは常にデッドプール、ウェイド・ウィルソンだった。
しかし今回、ライアン・レイノルズは新たな方向性を示唆した。米NBCの人気番組「トゥデイ」に出演した際、レイノルズはデッドプールに関する新たな構想について語った。「新しい脚本を書いているが、再び彼を中心に据えるつもりはない」と明言。「彼は脇役だ。グループの中で力を発揮する存在になる」と語った。
この発言は、デッドプールのファン以外の観客にとって朗報かもしれない。これまでの3作は興行的に成功し、コミックでも1993年から主役を務めてきたデッドプールだが、その第四の壁を超えた独特のスタイルやレイノルズ本人のキャラクターとの親和性が合わないと感じる層も少なくなかった。特に「デッドプール&ウルヴァリン」では、20世紀フォックス版マーベルヒーローの歴史を総括し、MCUとは異なる独自の世界に閉じ込めるという結末を迎えた。しかし、今後の「アベンジャーズ:ドゥームズデイ」や「アベンジャーズ:シークレット・ウォーズ」でその世界が崩壊し、新たなX-MENがMCUに統合されることが明らかになっている。デッドプールも、レイノルズが演じ続けるのであれば、新たな役割を見出す必要がある。
実は、デッドプールにとって変化は功を奏してきた歴史がある。同キャラクターは1991年のコミック「ニュー・ミュータント」第98号で初登場したが、当初はDCコミックスのデスストロークを明らかに模倣した存在だった。しかし、1997年の「デッドプール」第28号(ジョー・ケリー作、ピート・ウッズ画)で、編集者に対して第四の壁を超えた発言を行い、独自のメタ認知を獲得。その後、クリストファー・プリーストやゲイル・シモネといった作家たちによって、そのキャラクター性がさらに深化していった。
コミック界では、デッドプールがグループ内で活躍する姿が描かれてきた。2011年の「アンキャニィXフォース」シリーズ(リック・レメンダー作、ジェローム・オペーニャ画)では、その第四の壁を超えた発言や行動が、チームメイトであるサイロックやファンタメックスとの相乗効果を生み出した。特に、ウェイドが自らの肉体を切り取ってまでアルケイングを生かすという過激な描写は、彼のキャラクターの多面性を示す名シーンとなった。
今後、レイノルズがデッドプールを「グループの一員」として描くことで、これまでの一人称的なアプローチから脱却し、新たなファン層を獲得できるか注目される。