トロント(カナダ) — 2026年のNBAプレーオフ1回戦は、多くのシリーズが同時進行するため、分析が難しいシーズンの一つだ。そんな中、クリーブランド・カブスとトロント・ラプターズのシリーズは、当初はカブス優位と見られていた。カブスは開幕から2連勝し、ラプターズはレギュラーシーズンで上位10チームに対し7勝22敗と苦戦していた。さらに、ラプターズの主力シューター、イマニュエル・クイックリーがプレーオフ残り試合出場停止となったことで、カブスの勝利は確実と思われていた。
しかし、状況は一変した。第3戦と第4戦でラプターズがカブスを圧倒し、シリーズは2勝2敗のタイとなった。第5戦を控え、カブスのホームコートで行われる試合ながら、もはやカブス有利とは言い切れない状況だ。
ラプターズが行った唯一の調整がシリーズを変えた
カブスのジェームズ・ハーデンとドノバン・ミッチェルのピック・アンド・ロール攻撃に対し、ラプターズは第1戦と第2戦で苦戦を強いられた。しかし、第4戦では防衛戦術を大幅に変更。ハーデンとミッチェルの攻撃を封じることに成功した。
第1戦と第2戦では、ラプターズは一般的なマッチアップ戦術を採用していた。RJ・バレットがハーデン、ジャマル・シアードがミッチェル、スコッティ・バーンスがエバン・モーブリーをそれぞれ担当していた。しかし、第4戦では大幅なローテーション変更が行われた。
- バーンス → ハーデン
- Ja’Kobe Walter(シアードの代役) → ミッチェル
- ブランドン・イングラム → ディーン・ウェイド
- ヤコブ・ポエルトル → モーブリー
- バレット → ジャレット・アレン
この変更により、カブスの主力選手がピック・アンド・ロールを仕掛けても、ラプターズは簡単なスイッチで対応できるようになった。バーンス、ウォルター、バレットは身長と運動能力に優れており、様々なタイプの選手をカバーできる。そのため、ハーデンやミッチェルがポエルトル(ラプターズのディフェンス面で最も脆弱な選手)を狙おうとすると、モーブリーをスクリーナーとして使わざるを得なくなった。
なぜこの調整が効果を発揮したのか
この戦術変更のポイントは、カブスの主力選手同士の連携を阻害することにある。ハーデンとミッチェルがピック・アンド・ロールを仕掛けても、ラプターズはスイッチで対応し、ハーデンやミッチェルが自由に攻撃するのを防いだ。その結果、ミッチェルはモーブリーとのマッチアップでほとんどスペースを作り出せなかった。
ラプターズの防衛戦術の柔軟性が、カブスの攻撃を封じ、シリーズの行方を再び不透明にした。第5戦では、カブスのホームコートながら、ラプターズの巻き返しに注目が集まる。