ロサンゼルス市長選、ハリウッド産業の危機が焦点に
ロサンゼルス市長選挙まで6週間を切った中、ハリウッドの映画・テレビ制作の減少が選挙戦の重要テーマとなっている。2025年のロサンゼルス郡における撮影日数は前年から16%減少し、2万日を下回った。主要な映画・テレビ制作カテゴリーの撮影日数は、5年平均を30%以上下回っており、制作拠点の他州への流出が加速している。
次期市長が制作をいかに呼び戻すか、そしてメディア統合による大規模な雇用削減の波をどう乗り切るかが、主要5候補の政策を分ける争点となっている。
バス市長、再選を目指すも産業支援策に批判
現職のカレン・バス市長は再選を目指すも、これまでの産業支援策が不十分と批判されてきた。バス市長は4年任期の3年目にようやく映画産業担当のリエゾンを任命したが、選挙を控えて制作復興策を発表。一方で、市議会議員のニティヤ・ラーマン氏や元リアリティ番組タレントのスペンサー・プラット氏らは、バス市長の初期の取り組みを批判し、独自の制作復興策を発表している。
州税制優遇策拡大で制作復活の兆しも
昨年、カリフォルニア州議会は映画・テレビ向け税額控除プログラムの上限を3億3000万ドルから7億5000万ドルに引き上げた。これにより、カリフォルニア映画委員会(CFC)は147件の映画・テレビプロジェクトを承認。前年比53%増を記録し、アニメーション作品なども対象となった。これらのプロジェクトは、合わせて2万1509件のエンターテイメント関連雇用と55億ドルの経済活動を創出すると見込まれている。
ロサンゼルス郡の雇用減少が深刻
その一方で、ロサンゼルス郡では過去2年間で4万人以上の映画・テレビ関連雇用が失われ、2024年末までに従業員数は約14万2000人から10万人に減少した。制作の呼び戻しに向けた取り組みが続く中、次期市長の選出がハリウッド産業の未来を左右する。
バス市長、新たな制作支援策を発表
選挙戦を目前に控えた4月21日、バス市長は市議会議員アドリン・ナザリアン氏と共に、ロサンゼルス市内の映画制作を直接支援するパイロットプログラムを発表した。市交通局(LADOT)が管理する市内の駐車場20%割引を提供し、撮影機材やトラック、スター用ワゴン、トレーラーの駐車コストを削減する。このプログラムは、昨年5月に発表された「執行指令第11号」の一環で、具体的にはグリフィス天文台の撮影料金引き下げや中央図書館の撮影再開などが含まれる。
「バス市長はカリフォルニア州初の映画税額控除を創設した実績があり、今回のパイロットプログラムはその延長線上にある取り組みです。制作現場の負担軽減を通じて、ロサンゼルスへの制作誘致を加速させる狙いです」
関係者コメント
各候補者の制作復興策
選挙戦では、主要候補者がそれぞれの制作復興策を発表している。以下に主な候補者の政策をまとめる。
カレン・バス市長(現職)
- 市交通局駐車場20%割引の導入
- グリフィス天文台の撮影料金引き下げ
- 中央図書館の撮影再開
- 州税額控除プログラムの活用促進
ニティヤ・ラーマン市議会議員
- 中小規模制作の支援強化
- スタジオ・シティの再開発と制作拠点の整備
- 地元労働者の技能向上プログラムの拡充
スペンサー・プラット(元リアリティ番組タレント)
- 制作コストのさらなる引き下げ
- 市内の空き施設を活用した低コストスタジオの整備
- デジタル技術を活用した制作効率化の推進
今後の展望と課題
州の税制優遇策拡大により制作復活の兆しは見えるものの、ロサンゼルス郡の雇用減少は深刻な状況が続いている。次期市長のリーダーシップが、ハリウッド産業の再活性化に向けた鍵を握ることになる。