米国の反ワクチン活動家で、「Make America Healthy Again Institute」(MAHA)の代表を務めるロバート・F・ケネディ・ジュニア氏は、11月11日に開催された同団体のイベントで、抗うつ薬の処方抑制に向けた新たな連邦政策を発表した

同イベントは「過剰医療化」をテーマに掲げ、参加者らは根拠のない主張として、米国の若者を中心に、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの抗うつ薬が過剰に処方されていると主張した。SSRIには、うつ病や不安障害、PTSDなどの治療に用いられるゾロフト、プロザック、パキシル、レクサプロなどが含まれる。

参加者らは、これらの薬が十分な説明を受けずに処方されている有害である中止が困難であるといった主張を展開。しかし、これらの主張には科学的根拠が乏しい。

ケネディ氏の根拠なき主張と専門家の反発

ケネディ氏は長年にわたり、SSRIに関する根拠のない主張を繰り返してきた。例えば、子どもを含む多くの人がSSRIを服用しており、暴力行為を引き起こす可能性があると主張。さらに、学校銃乱射事件の原因がSSRIにあるとの見解を示したこともある。

昨年のポッドキャストでは、「黒人の子どもはアドダレルやSSRI、ベンゾジアゼピンなどの暴力を誘発する薬を標準的に処方されている」と発言。解決策として、「黒人の子どもを農場で再教育すべきだ」と述べた。

専門家からの批判と懸念

精神医療の専門家らは、ケネディ氏の主張が科学的根拠に乏しく、患者の治療に悪影響を及ぼす可能性があると強く批判。SSRIは、うつ病や不安障害の治療において、国際的な医療ガイドラインで推奨されている薬剤であり、その安全性と有効性は広く認められている。

米国精神医学会(APA)の関係者は、「抗うつ薬の処方抑制は、患者の健康リスクを高めるだけでなく、精神疾患の治療に対する誤解を助長する」と指摘。「根拠のない主張に基づく政策は、公衆衛生に深刻な影響を及ぼす可能性がある」と述べた。

今後の展望と課題

ケネディ氏の新政策が実施されれば、精神疾患を抱える患者の治療機会が制限される恐れがある。専門家らは、科学的根拠に基づく政策立案の重要性を訴えるとともに、患者の安全と健康を最優先に考えるべきだと強調している。