米国のガソリン価格が当面高止まりする見通しだ。イラン情勢の悪化やホルムズ海峡の封鎖が続く中、専門家らは価格が元の水準に戻るまでには数年を要すると分析している。
エネルギー省長官の見通し
エネルギー省のクリス・ライト長官は8月11日、CNNのインタビューで「米国のガソリン価格が戦前の水準(平均約3ドル/ガロン)に戻るのは来年以降になる可能性が高い」と述べた。しかし、トランプ前大統領は同月12日、ザ・ヒル紙の取材で「価格はより早く下落する」と発言し、見解が分かれた。
専門家らの予測
調査会社S&Pグローバルのロブ・スミス氏は「最も楽観的なシナリオでも、ホルムズ海峡の通航が完全に回復しても、ガソリン価格が戦前の水準に戻るのは2027年以降になる」との見解を示した。同社は「極端な不確実性」が続く中、3つの価格シナリオを分析したが、いずれも同様の結論に達した。
価格下落までの遅れ要因
ガソリン価格の下落が遅れる主な理由は以下の通りだ。
- 物流の遅れ:原油価格の下落が精製、卸売り、小売りに浸透するまでに時間がかかる
- 在庫の高コスト:ガソリンスタンドが高額な在庫を処分し、コスト回収に時間がかかる
- 世界的な需給逼迫:ホルムズ海峡の封鎖により、ペルシャ湾諸国は原油生産を削減。生産回復には長期間を要する
ガソリン価格の今後
ガスバディのパトリック・デ・ハーン氏は「ホルムズ海峡が完全に回復しても、米国のガソリン価格が戦前の水準に戻るまでには数カ月かかる」と指摘。一部の州では年末にかけて3ドル/ガロンを下回る可能性があるものの、全米平均での回復は当面見込めないとした。
ベテラン燃料アナリストのトム・クローザ氏も「海峡が直ちに正常化しても、今年中に戦前の水準に戻る可能性は低い」と述べ、特に南東部やグレートプレーンズ、五大湖周辺の州で価格が下がる可能性を示唆した。
選挙への影響
高止まりするガソリン価格は、消費者の家計を直撃するだけでなく、中間選挙の選挙戦にも影響を与える可能性がある。米国民にとって最も身近な経済指標であるガソリン価格の上昇は、有権者の投票行動に影響を及ぼす懸念材料となっている。