米国の民主党議員団が、米郵便公社(USPS)に対し、トランプ前大統領の郵便投票を制限する大統領令に従わないよう要請する書簡を送付した。

下院監視・行政委員会の民主党幹部であるロバート・ガルシア議員とジョー・モレール議員は、USPSの理事会に宛てた書簡で、同大統領令の実施を拒否するよう求めた。同令は、連邦選挙名簿に登録されていない有権者の投票用紙をUSPSが配達しないよう指示する内容だが、議員らはUSPSが独立機関であり、大統領の権限が及ばないと主張。さらに、USPSが選挙管理業務を行うことは違法であり、郵便サービスの公平性を定めた法律に反すると指摘した。

大統領令の内容と問題点

トランプ前大統領が3月下旬に署名した同大統領令は、州が連邦選挙の90日前までにUSPSに郵便投票または不在者投票の実施計画を通知すること、選挙の60日前までに有権者名簿の提供を「すべき」とする内容。さらに、USPSに各州の郵便投票・不在者投票参加者リストを作成させ、名簿に載っていない者の投票用紙を配達拒否するよう指示していた。

しかし、同令には州がUSPSに情報を提供する法的義務はなく、USPSが州にデータ提供を要求する権限もない。また、選挙の60日前という期限は、多くの州で有権者登録や郵便投票申請の期限がそれよりも遅いことを考慮すると、数百万人の有権者の投票権を奪いかねないと議員らは指摘した。

書簡ではさらに、「全50州とコロンビア特別区では、選挙の60日前までに有権者登録や郵便投票申請を可能としており、一部の州ではそれよりも遅い期限を設けている」と述べ、期限の厳格化が有権者の権利を制限する可能性を強調。加えて、州が提供する有権者名簿と国土安全保障省(DHS)の市民権リストを照合する方法や精度についても懸念を示した。

議員団の要求と州の反発

議員団はUSPS理事会に対し、同令の実施計画の有無や、具体的にどの条項を満たすのかを明らかにするよう求めた。また、スタッフレベルでの説明会を開催し、書簡で指摘した懸念に対応するよう要請した。

すでに20以上の州が同令に反対し提訴しており、州の選挙管理権を侵害するとして憲法違反の疑いが指摘されている。議員団は、トランプ前大統領による選挙の「国有化」や「乗っ取り」発言、根拠のない選挙不正主張にも言及。また、共和党が引き続き「SAVE America Act」の成立を目指していることにも触れた。同法案は全面的な郵便投票を禁止する内容だが、上院多数党院内総務のジョン・トゥーン議員は優先度が高くないとしている。同法案が成立すれば、有権者は郵便投票用紙を受け取るために申請書を提出する必要が生じる。