米司法省は2025年5月、トランプ前大統領が就任初日に署名した大統領令を受け、連邦レベルでの死刑執行方法に「射撃隊」を復活させる方針を発表した。同令では、法執行官の殺害や不法滞在者による重大犯罪など、死刑が「必要とされる重大犯罪」すべてを対象に死刑適用を拡大するよう司法長官に指示していた。

前大統領ジョー・バイデン政権下では、司法長官メリック・ガーランドが連邦死刑執行を一時停止していた。しかしトランプ氏は退任直前にバイデン大統領が死刑囚37人に恩赦を与えたことを受け、2期目就任直後から死刑執行の強化を打ち出していた。

今回の発表では、司法省が連邦刑務局に対し、執行方法に「射撃隊」を含む複数の方法を追加するよう指示したことが明らかになった。大統領令自体には射撃隊の言及はなかったが、司法省は「より人道的な方法の一つ」と位置付けている。

射撃隊の是非を巡る議論

射撃隊による処刑は、致死率100%ではない注射による執行に比べ、より「人道的」とされることがある。しかしその一方で、即死しない場合には出血多量で死亡するケースもあり、残酷性が指摘されることもある。

2025年3月には連邦最高裁がサウスカロライナ州による射撃隊執行を15年ぶりに容認。米国では1608年以降少なくとも144人が射撃隊で処刑されており、その多くはユタ州で行われた。しかし射撃隊は「野蛮」との批判が根強く、現在ではアイダホ、ミシシッピ、オクラホマ、サウスカロライナ、ユタの5州でのみ例外的に認められている状況だ。

執行方法の多様化が進む背景

連邦レベルでの死刑執行は2020年以降停止されていたが、トランプ前大統領の指示により再開される見通し。司法省は「執行方法の多様化は、憲法の禁止する残虐な刑罰に該当しない方法を確保するため」としている。

一方で人権団体からは「射撃隊の復活は、死刑制度そのものの見直しを求める流れに逆行する」との批判が上がっている。