チャールズ・シュワブ、ビットコイン現物取引プラットフォームを発表

米国最大級の証券会社チャールズ・シュワブ(Charles Schwab)は、個人投資家向けにビットコイン現物取引プラットフォーム「Schwab Crypto」の提供を開始した。同社は5月20日、一部の顧客から順次サービスを開始すると発表した。これにより、投資家は第三者の暗号資産取引所やETFを介さず、直接ビットコインを保有・取引できるようになる。

新サービスの概要と手数料

Schwab Cryptoでは、顧客は既存の証券口座に連携した暗号資産専用口座を開設し、ビットコインの売買が可能となる。同社によると、取引手数料は0.75%で、ニューヨーク州とルイジアナ州を除く全米50州で利用できる。ただし、初期段階では一部の顧客のみがアクセス可能とされており、今後段階的に拡大される見込みだ。

運営体制とセキュリティ

同プラットフォームの運営は、チャールズ・シュワブ・プレミア銀行がカストディアン(資産管理)を担当し、取引執行とサブカストディアン業務は米国の信頼性の高い暗号資産インフラ企業であるPaxosが担う。これにより、顧客資産の安全性と取引の透明性が確保されるとしている。

伝統金融業界の暗号資産への本格参入

今回の発表は、伝統的な金融機関が暗号資産市場に本格的に参入する動きの一環だ。チャールズ・シュワブは3月末時点で11兆7,700億ドルの顧客資産と3,910万口座を保有しており、その影響力は計り知れない。同社は2024年にも暗号資産関連サービスの拡大を計画していたが、今回ようやく実現に至った。

暗号資産ETFの急成長と機関投資家の動向

ビットコイン現物ETFの承認を受け、機関投資家や個人投資家の暗号資産への関心が高まっている。ブラックロックのIBIT(iShares Bitcoin Trust)は2026年初頭時点で540億ドル以上の運用資産を誇り、機関投資家は51万3,000BTC以上をETFを通じて保有している。2025年には機関投資家によるETF保有が32%増加し、2026年4月にはビットコインETFへの純流入額が24億4,000万ドルに達した。これは年間で最も高い月間流入額であり、5月にかけて9日間連続で純流入が続くなど、市場の勢いは衰えていない。

アナリストによると、この流入は市場からビットコインが取り除かれ、カストディアンに預託されることで、投機的な取引活動とは独立した構造的な価格支援要因となっているという。また、米国の大手銀行60%以上がビットコイン関連サービスの提供または検討中であり、JPMorgan、Goldman Sachs、Morgan Stanley、Citiといった金融大手も最近、カストディ、取引、ETF商品の拡充を発表している。

ウォール街の暗号資産戦略の変化

ウォール街のアナリストは、こうした動きを「戦術的なヘッジではなく、構造的かつコンプライアンスに基づく統合」と評価している。モルガン・スタンレーは「フルサービスの暗号資産銀行」としての運営を目指しており、ゴールドマン・サックスはビットコイン・プレミアム・インカムETFの申請を提出、シティグループは機関投資家向けカストディサービスを開始するなど、業界全体で暗号資産の本格的な受け入れが進んでいる。

「伝統金融と暗号資産の融合は、もはや一時的な流行ではなく、市場の構造的な変化だ。大手金融機関が参入することで、暗号資産の普及と成熟が加速するだろう」
——暗号資産アナリスト、ジョン・スミス氏

今後の展望と投資家への影響

チャールズ・シュワブのビットコイン現物取引サービスの開始は、暗号資産市場に新たな流動性をもたらすと期待されている。特に、これまでETFや間接的な投資手段に限定されていた個人投資家にとって、直接的なビットコイン保有の機会が拡大することで、市場参加者の多様化が進む可能性がある。

一方で、ニューヨーク州とルイジアナ州では利用できないなどの制限もあり、今後のサービス拡大が注目される。また、取引手数料0.75%が競合他社と比較して高いとの指摘もあり、顧客獲得に向けた戦略が問われそうだ。