米オレゴン州の連邦地方裁判所、ムスタファ・T・カスバイ判事は11月9日、保健福祉長官ロバート・F・ケネディ・ジュニアを「無責任で危険なリーダー」と厳しく断じ、トランスジェンダーの若者に対する性別適合医療を提供する医療機関と患者を連邦政府の規制から保護する暫定命令を発令した。

判事は判決文で「無責任なリーダーは危険だ」と述べ、ケネディ氏が昨年12月に一方的に性別適合医療を受ける若者への連邦資金を停止しようとしたことは違法であり、「国民と医療機関に混乱と恐怖をもたらした」と指摘した。

カスバイ判事はさらに、ケネディ氏の行動について「民主主義国家の根幹である法の支配を尊重しない」と述べ、その手法を「やってみて通るかどうか試す」という原則に基づくものだと批判した。

医療機関への影響と法廷闘争の経緯

昨年12月、ケネディ氏は「性別適合医療は医療基準を満たしていない」とする宣言を発表し、性別適合治療(思春期ブロッカーや性別適合ホルモン療法など)を提供する病院や診療所への連邦資金の停止を示唆した。これにより、10以上の小児病院が資金停止の対象となり、一部の医療機関は自主的に治療を中止する事態に陥った。

これに対し、21の主に民主党系州とワシントンD.C.が連邦政府を提訴。カスバイ判事は先月、ケネディ氏が法的手続きを無視して政策を実施しようとしたと認め、同宣言を一時的に差し止める命令を出した。

新たな規制案と今後の展望

しかし、裁判が進行中にもかかわらず、保健福祉省(HHS)は正式な規制手続きを進め、メディケア・メディケイドの資金を性別適合医療を提供する病院から剥奪する規制案を発表した。この規制が実施されれば、全米の病院がトランスジェンダーの若者への医療提供を中止せざるを得なくなる可能性がある。また、低所得世帯の子どもを対象とする連邦保険プログラムからも治療費の支払いを禁止する政策も提案されている。

元トランプ政権の政策担当者は、この規制案を「核兵器に匹敵する」と評価している。

カスバイ判事は今回の新たな命令で、こうした規制の実施をさらに阻止する姿勢を示した。判決は、ケネディ氏の政策が「民主主義の原則に反し、法の支配を軽視する」ものであると改めて強調した。