不安を感じやすい人にとって、これまで「散歩に行こう!」「十分な睡眠を!」「瞑想を!」といったシンプルなアドバイスを受けてきた経験はないだろうか。確かにこれらは有効な方法だが、頭が冴えない状態では、なかなか実行に移せないものだ。特に、高いパフォーマンスを求められる人にとって、その傾向は顕著だ。

その理由の一つは、ストレスと不安を混同しがちな点にある。ストレスは外部からの圧力に対する反応であるのに対し、不安は内面から湧き上がるもので、必ずしも明確なきっかけがなくても生じる。ストレスは問題解決後には和らぐが、不安は繰り返し考え込むことで長引き、創造性や意思決定力を低下させる。そんな時は、呼吸法だけでは解決しないと感じるかもしれない。しかし、専門家が提案する9つの方法を実践すれば、不安を克服できる。

1. 休息を取る許可を自分に与える

高業績者のメンタルヘルスを支援する心理療法士、ジョシュ・アルトマン博士は、自身の経験から「パフォーマンスを追求しすぎるあまり、健康的な習慣を怠ってしまう人が多い」と指摘する。バランスの取れた食事、十分な睡眠、20分の運動などは、過剰な負荷がかかっている時こそ必要な行動だという。

「パフォーマンス志向の強い人は、仕事を止めることを考えません。しかし、仕事から離れる時間を取ることで、むしろ仕事の質が向上するのです」とアルトマン博士は語る。「休息が認知機能や集中力、問題解決力を高めることを理解すれば、休むことも納得できるはずです」

2. 小さな一歩から始める

仕事に100%の力を注ぐ人にとって、運動や睡眠といった習慣も「完璧にこなすか、全くやらないか」の二極化思考に陥りがちだ。しかし、アルトマン博士は「小さな変化の積み重ねこそが、真の変化につながる」と強調する。

例えば、スマートフォンの使用時間を減らしたい場合、いきなりデジタルデトックスに挑戦するのではなく、まずは15分間だけ別の部屋に置いておくことから始めよう。慣れてきたら徐々に時間を延ばす。これにより、精神的な負担を最小限に抑えながら、神経系のリセットが可能になる。

「小さな一歩だからこそ、実行しやすく、不安も軽減されます。すぐに体感できる効果でもあります」とアルトマン博士は説明する。

3. やるべきことを「外部化」する

完了したタスクよりも、未完了のタスクに意識が向いてしまう経験はないだろうか。これは人間の脳の特性によるものだ。

「脳は完了したタスクよりも、未完了のタスクを記憶しやすい構造になっています」とアルトマン博士は指摘する。この特性を逆手に取り、タスクを「外部化」する方法が有効だ。例えば、手帳やデジタルツールに書き出すことで、脳の負担を軽減し、不安を和らげることができる。

4. 5-4-3-2-1法で今に集中する

不安が高まると、過去の失敗や未来への不安が頭をよぎり、現在に意識を向けられなくなる。そんな時は、五感に意識を集中させる「5-4-3-2-1法」が効果的だ。

具体的には、目に見えるもの5つ、触れられるもの4つ、聞こえるもの3つ、匂い2つ、味わうもの1つを意識的に数える。これにより、不安を引き起こす思考から離れ、今この瞬間に戻ることができる。

5. 運動でセロトニンを増やす

運動は、ストレスホルモンであるコルチゾールを減少させ、幸福感をもたらすセロトニンを増加させる効果がある。特に、高業績者にとっては、仕事のパフォーマンスを維持しながらも、メンタルの安定を図るための重要な手段だ。

「運動は、単に体を動かすだけでなく、脳の機能を向上させ、不安を軽減する効果があります」と専門家は述べる。1日20~30分のウォーキングやヨガなど、無理なく続けられる運動から始めよう。

6. 睡眠の質を高める

睡眠不足は不安を増幅させる要因の一つだ。しかし、高業績者は仕事の忙しさから、睡眠時間を削りがちだ。そこで、睡眠の質を高めるための工夫が必要になる。

例えば、就寝前の1時間はスマートフォンやパソコンの使用を控え、リラックスできる環境を整える。また、就寝時間と起床時間を一定に保ち、体内時計を整えることも重要だ。

「質の高い睡眠は、不安を軽減し、日中のパフォーマンスを向上させます」と専門家はアドバイスする。

7. マインドフルネス瞑想を習慣化する

瞑想は不安を和らげる効果が科学的に証明されている。しかし、高業績者にとっては、時間の確保が難しい場合もある。そこで、短時間でも効果的なマインドフルネス瞑想を取り入れよう。

例えば、朝の10分間、呼吸に集中するだけでも、心の安定につながる。慣れてきたら、徐々に時間を延ばしていこう。

「瞑想は、不安をコントロールするための強力なツールです。継続することで、心の平穏を手に入れることができます」と専門家は述べる。

8. 専門家に相談する勇気を持つ

不安が深刻な場合は、一人で抱え込まず、専門家に相談することが重要だ。心理療法士やカウンセラーは、個々の状況に応じた具体的なアドバイスを提供してくれる。

「高業績者だからこそ、メンタルヘルスの重要性を理解し、早めに専門家のサポートを受けるべきです」とアルトマン博士は強調する。

9. 自然と触れ合う時間を増やす

自然と触れ合う時間は、ストレスや不安を軽減する効果が期待できる。特に、都市部で働く人にとっては、週末に公園や森林を訪れるだけでも、心のリフレッシュにつながる。

「自然の中にいると、脳がリラックスモードに切り替わり、不安が和らぎます」と専門家は述べる。仕事の合間に、短時間でも自然に触れる時間を設けよう。