高齢者の性的関心や親密さに関するステレオタイプは、科学的根拠に乏しいことが複数の研究で明らかになっている。最新の研究によると、60代から80代の成人の多くは、性的関係やロマンスを求め続けており、その重要性を強く認識しているという。

米国の研究チームが実施した調査では、60歳から83歳までの独身男女100人(男性50人、女性50人)を対象に、新たな性的・ロマンチックな関係に対する希望について聞き取りを行った。その結果、約75%の参加者が、性的関係のない関係性を望まないと回答。中には「性のない関係は関係と呼べない」と断言する人もいた。

「性がなければ関係は成立しない。友達でいればいいが、恋愛関係を望むなら性は必須だ」と話す参加者もおり、性的関係の有無が関係性の質を左右する重要な要素であることが浮き彫りになった。

加齢による性欲の低下は誤解

従来の社会通念では、年齢を重ねるにつれて性的関心や性欲は減退すると考えられてきた。しかし、米国オレゴン州立大学の臨床心理学者Arien Muzacz博士は、「性的活動を行う高齢者ほど、全体的な幸福感や生活満足度が高い」と指摘する。Muzacz博士は今回の研究には関与していないが、性的関係が精神的健康にも好影響を与える可能性を示唆している。

一方で、性的な実践が困難になるケースもある。臨床心理学者で著書『Releasing Toxic Anger for Women』の著者Karyne Wilner博士は、「年齢を重ねても性的な関心は失われないが、身体的な制約により実践が難しくなる」と説明する。70代、80代、さらには90代を超えても性的な関心やロマンスを求める人は多いが、その一方で性行為に伴う身体的な課題に直面することが多いという。

関係性の質を高めるために

この研究結果は、高齢者の性的健康や関係性に対する社会的な認識を変えるきっかけとなる可能性がある。専門家らは、高齢者の性的健康についてオープンな議論を促進し、身体的な制約を補うための代替的な方法(例えば、触れ合いやコミュニケーションの重要性)を模索する必要性を訴えている。

また、関係性における性的なつながりの重要性を再認識することで、高齢者の生活の質向上につながるだけでなく、社会全体の性に対する偏見を払拭する一助となることが期待される。

出典: Healthline