米ワシントンD.C.のマウントプレザント地区にある「リトルフリーライブラリー」で、2026年4月25日に撮影された様子。| Allison Robbert for the Washington Post via Getty Images

AIによる文章作成に対する評価はさまざまだが、人間が書いた文章との違いは確かに存在する。作家のイモージン・ウェスト=ナイト氏は、AI特有の兆候として「否定の並行構造」や「過剰な比喩・直喩の使用」、特に「意味をなさない、あるいは連続して急速に現れる比喩」を挙げる。加えて、「あらゆる名詞に形容詞が付随する」「一定の反復的な構文ブロックが見られる」とも指摘する。

しかし、AI技術の進化により、その違いは徐々に曖昧になりつつある。AIモデルは人間の優れた文章からも、稚拙な文章からも学習するため、AIが生成した文章と人間のそれとの区別は難しくなっている。特に文章の断片的な部分では、AI特有の平坦さやパターンが現れにくく、見分けがつかないケースが増えている。

こうした背景から、作家でジャーナリストのヴォーヒニ・ヴァラ氏は、自身の文章とAIが模倣した文章を比較する実験を行った。ヴァラ氏は、自身の過去3冊の書籍や記事を基にAIモデルを訓練し、未発表の新作小説の一節をAIに生成させた。そして、そのAI生成文と自身の執筆文を並べて、友人や知人にどちらかを判別してもらった。

実験の結果、意外な反応が

ヴァラ氏は、ポッドキャスト番組「Today, Explained」の共同ホスト、ノエル・キング氏との対談で実験の詳細を語った。ヴァラ氏によれば、研究者トゥヒン・チャクラバーティ氏が既に同様の実験を行っており、優秀な大学院生の文章よりもAIが生成した模倣文の方が好まれる傾向があったという。

「AIモデルは、優れた作家の文章を模倣するよう訓練されています。その結果、人間が書いた文章よりもAIの方が好まれるケースが多く見られました」とヴァラ氏は説明する。

ヴァラ氏自身も同様の実験を行ったが、その結果はさらに興味深いものだった。多くの人が、AIが生成したヴァラ氏の文章の方を「本物」と判断したのである。ヴァラ氏は、この結果について「多くの人が、AIが生成する文章には特定のパターンがあると信じていますが、実際には人間の文章との違いは非常に微妙です」と語っている。

AIと人間の文章の本質的な違いとは

この実験から明らかになったのは、AIが人間の文章を模倣する能力が飛躍的に向上している一方で、人間らしい表現の本質的な部分は依然としてAIには再現できないという点だ。例えば、人間の文章には「経験や感情に基づく独自の視点」や「文脈に応じた柔軟な表現」が含まれる。これに対し、AIは膨大なデータからパターンを学習するため、時に「平坦で無機質な」文章を生成することがある。

ヴァラ氏は、この実験を通じて「AIが人間の文章を完全に模倣することは不可能ではないかもしれないが、その違いを見極めるのは容易ではない」と結論付けている。今後、AI技術がさらに進化すれば、人間とAIの文章の区別はますます困難になるだろう。

出典: Vox