BMWは、完全子会社化したアルピナブランドの未来を示すコンセプトカー「Vision Alpina」を発表した。V8エンジンを搭載したグランツーリスモは、スピードとラグジュアリーを両立し、アルピナの伝統的な価値観を引き継ぐデザインとなっている。

アルピナの伝統を受け継ぐV8グランツーリスモ

BMWによると、Vision Alpinaはアルピナを完全子会社化後初のコンセプトカーであり、2026年のコンクール・デレガンス(Concorso d’Eleganza Villa d’Este)でデビューする予定だ。同車は、アルピナの伝統である「スピード」「快適性」「洗練」の3つの柱を強化したデザインとなっている。

アルピナはこれまで、BMWのMバッジとは異なる独自の存在感を放ってきた。MバッジはBMWの技術力を象徴する高性能モデルを示す一方で、アルピナはそれをさらにラグジュアリーでカスタムな存在へと昇華させてきた。しかし、BMWがアルピナを完全子会社化したことで、そのブランドの将来に対する懸念が生まれていた。そんな中、発表されたVision Alpinaは、アルピナの伝統を受け継ぐだけでなく、新たな時代への布石となるデザインを提示している。

グランツーリスモの本質を追求したデザイン

Vision Alpinaの全長は204.7インチ(5,199mm)に達し、4人乗りの広いキャビンを備えたクーペ風のルーフラインが特徴だ。低い車高と長いボンネットにより、現代的なクロスオーバー由来のラグジュアリーカーというよりも、往年のグランツーリスモのような印象を与える。

フロントには、サメの鼻のようなデザインのエンクローズドツイン・キドニー・グリルが採用されているが、これはEVを連想させる外観ながら、実際にはV8エンジンが搭載されている。BMWはエンジンの詳細については明らかにしていないが、アルピナはこれまでBMWの既存エンジンを再設計し、高性能化することで知られてきた。そのため、量産モデルに搭載されるV8エンジンは、現行のBMW M5に搭載されている4.4リットルツインターボエンジンをベースに、大幅にチューニングされたものになる可能性が高い。

「セカンドリード」の洗練されたデザイン

BMWのデザイナーは、Vision Alpinaのデザインについて「セカンドリードの洗練」をコンセプトとしている。これは、一目で目立つデザインではなく、じっくりと鑑賞することでその美しさがわかる「控えめな贅沢」を表現している。

デザイン面では、モダンにアレンジされたデコラティブライン、サメの鼻のようなフロントグリル、20本スポークのホイールが採用されている。これらの要素は、1950年代のアルピナモデルやBMW 507などの往年の名車からインスピレーションを受けている。BMWのデザインとしては控えめながらも、洗練された美しさを放っていると言えるだろう。

今後の展望:2025年発売の新7シリーズをベースに

BMWは、Vision Alpinaの量産モデルを2025年に発売する計画を発表した。ベース車両は新型7シリーズとなる見込みで、アルピナの伝統と現代の技術が融合したモデルとなることが期待される。これにより、BMWはアルピナブランドの新たな時代を切り開くとともに、グランツーリスモの本質を再定義することになるだろう。

「アルピナは常に、スピードと快適性が両立するパフォーマンスと refinement(洗練)の象徴でした。私たちがこのブランドの新たな管理者として、その伝統を受け継ぎながらも、新しい時代にふさわしい進化を遂げていきます」
BMW上級デザイン責任者

出典: CarScoops