Boseは、スマートスピーカーの新たな戦略を発表した。これまで同社はWi-Fi接続型スピーカーを多数発売してきたが、今回の「Lifestyle Ultra」シリーズは、数年にわたり構築してきた新プラットフォームを採用した戦略的な再出発となる。シリーズ名は1990年代に発売されたBoseのオリジナル「Lifestyle」システムにちなんでいる。
新ラインアップには、299ドルの単体スピーカー、1,099ドルのサウンドバー、899ドルのサブウーファーが含まれ、これらは組み合わせてサラウンドシステムとしても利用できる。Boseのプレミアム消費者オーディオ部門社長であるRaza Haider氏は、これらが新技術基盤上で発売される最初のスピーカーであり、今後も多くの製品が登場すると述べた。「これは完全に新しいプラットフォームです。古い技術基盤を根本から刷新し、将来にわたってハードウェアとソフトウェアの両面で構築できる基盤を手に入れました」と語った。
第三者サービスに依存するスマート機能
Lifestyle Ultraシリーズの特徴は、スマート機能の多くを他社に委ねている点だ。従来のBoseスピーカーとは異なり、新シリーズではBoseのモバイルアプリから音楽操作ができない。音楽を再生するには、Apple AirPlay、Google Cast、Spotify Connectなどの第三者サービスを利用する必要がある。また、マルチルームオーディオ機能も廃止され、Boseがこれまで提供していた「SimpleSync」システムは廃止された。Boseのアプリは、ステレオペアやシングルルームのサラウンドサウンド設定にのみ対応する。
これはライバルのSonosとは対照的なアプローチだ。SonosはAirPlayやSpotify Connectにも対応しているが、自社のリモートコントロールアプリやマルチルーム機能を重視している。また、Sonosは独自の音楽専用音声アシスタントを開発しているが、BoseはAlexa+を採用し、将来的には他の音声アシスタントにも対応する計画だ。
Sonosの失敗から学ぶBoseの戦略
Sonosのアプローチは統合性が高い反面、リスクも伴う。例えば2024年に行われたアプリの大幅刷新では、バグや機能の後退により顧客からの反発を招き、売上は大幅に減少。CEOの退任にまで追い込まれた。Boseはこの教訓を踏まえ、自社アプリの機能を最小限に抑え、顧客が普段使っている音楽サービスとの連携を重視した。「顧客からは、『音楽は自分が聴いている場所で再生したい』という声が多く寄せられました。Spotify ConnectやAirPlay、Google Homeから別のアプリに移行したくないと」とHaider氏は説明する。
プラットフォームに縛られない自由さ
筆者自身も、Sonos、Amazon、Google、Appleなど複数のスマートスピーカーを所有し、その煩わしさを経験してきた。例えば、Google Nestスピーカーは他のGoogle Castスピーカーとしか連携せず、Alexaスピーカーは他のAlexaスピーカーとしか同期しない。Sonosの機器であっても、AirPlayやSonosアプリ経由でしか同期できず、GoogleやAmazonのマルチルームシステムとは互換性がない。こうした現状を踏まえると、Boseのプラットフォームに依存しないアプローチは大きな魅力となる。Lifestyle Ultraシリーズがその解決策となるかもしれない。