米国自動車市場で、かつて主流だったセダンが再び注目を集めている。背景にあるのは、SUVやクロスオーバーの価格高騰と、新たな燃費規制の動向だ。

2026年の第1四半期、トヨタ・カムリは10年以上ぶりに販売台数で同社の主力SUVであるRAV4を上回った。カムリは前年比11.3%増の78,255台を販売し、RAV4は59,869台(前年比48.1%減)にとどまった。RAV4は新型移行期にあったため単純比較はできないが、セダン市場の回復を示す兆しと捉えられている。

メーカーがセダン回帰の動き

フォード、日産、Stellantis(クライスラー、ジープ、ラムなど)といった大手自動車メーカーが、新型セダンの投入を検討している。その背景には、SUVの価格上昇による市場の変化がある。

「セダンは正直で予想外の存在だ。ブランドのルーツに立ち返るチャンスでもある」と、日産米国法人のチアゴ・カストロ最高マーケティング責任者は語る。またStellantisのラルフ・ジャイルズデザイン責任者は「若いデザイナーたちが1980年代のGTIのようなハッチバックを求めている。運転が楽しく、駐車もしやすいクルマを求めている」と述べ、新たな車両フォーマットの可能性を探っている。

フォードのジム・ファーリーCEOは「セダン市場は非常に活況だ。競争力と収益性を両立できなかっただけで、市場がないわけではない」と指摘。新たな燃費規制が追い風になる可能性を示唆した。

燃費規制の変化が追い風に

米国ではこれまで、自動車メーカーに対し50.4mpg(約21.4km/L)という厳しい燃費目標が課されていた。しかし、連邦政府はこれを34.5mpg(約14.7km/L)に緩和する方向で調整中だ。その一方で、SUVやクロスオーバーの「ライトトラック」分類を見直す動きもある。

これまで、多くのSUVやクロスオーバーは「ライトトラック」に分類され、乗用車よりも緩い燃費規制が適用されてきた。しかし、新たな規制では多くの小型SUVが乗用車に分類される可能性があり、これがセダンの競争力を高める要因となる可能性がある。

「SUVの価格が高騰し、多くの消費者が手が届かなくなっている。その一方で、セダンは手頃な価格で、運転の楽しさと実用性を両立できる」と、業界アナリストは指摘する。メーカー各社はこうした市場の変化を捉え、セダンの再評価を進めている。

出典: CarScoops