米国の司法省は10月、AI(人工知能)ブームに便乗した巨額詐欺容疑で、AIスタートアップiLearning EnginesのCEOとCFOを告発した。同社はわずか数年で時価総額15億ドルに達したとされていたが、実態は顧客と売上のほとんどが架空だったとされる。
司法省の発表によると、同社のCEOであるPuthugramam「Harish」Chidambaran氏とCFOのSayyed Farhan Ali「Farhan」Naqvi氏は、2019年1月から「顧客関係と売上のほぼすべてを捏造していた」とされる。二人は「継続的な金融犯罪企業」の共謀者として、証券詐欺や電信詐欺など複数の容疑で起訴された。
司法省の声明では、「被告らはAIブームへの投資家の期待に乗じ、実態のない顧客と売上をもとに、虚偽の財務状況を投資家や金融機関に提示した」と指摘。同社が「AIによる教育革命」を掲げていた一方で、実際に「人工的だったのは顧客と売上の部分だった」と批判した。
不正な資金獲得の規模
二人は株式オプション、給与、ボーナスなどで数億ドルを不正に獲得していたとされる。特にChidambaran氏は、2023年から2024年にかけて70万ドルの給与に加え、5億ドル以上の普通株式と1250万ドル相当の制限付き株式ユニットを受け取っていたと報じられている。
詐欺の規模はさらに拡大していた。2023年の同社の売上は4億2100万ドルと発表されていたが、司法省はこれを「架空の顧客との偽装契約によって水増しされたもの」と主張。中には年間数千万ドル規模の契約も含まれていたとされる。
AI詐欺の拡大傾向
米国ではAI関連の詐欺が急増しており、2025年のFBIのインターネット犯罪報告書によると、AI詐欺の被害届は2万2000件以上に上り、被害総額は9億ドルに達した。前年から33%増加しており、AIバブルの終焉まで詐欺師たちは利益を得続けると懸念されている。