ウクライナ東部ハルキウ州で、無人システム部隊の兵士が2026年3月31日にドローンを準備する様子。写真はNikoletta Stoyanova/Getty Images提供。
「小休戦を提案したところ、彼が応じるかもしれない」と、米国のドナルド・トランプ前大統領は先週、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との会談後に記者団に語った。「これ以上多くの命が失われるのは馬鹿げている」。プーチンはこれまでも「小規模な停戦」を提案してきたが、本格侵攻から4年以上が経過した今も、戦争終結の兆しは見えない。ウクライナ戦争と米国の停戦交渉は、ここ数週間、米国の関心を中東情勢に奪われ、注目度が低下している。
当初は、イラン情勢の緊迫化によりロシアが意外な恩恵を受けるのではないかとの見方があった。原油価格の高騰、米国によるロシア産エネルギー輸出制裁の緩和、欧州への重要な軍需品(特にミサイル迎撃システム)の移管などがその要因だ。しかし、戦場の状況を見る限り、ロシアが利益を享受しているようには見えない。3月にロシアは広く予想されていた春夏攻勢を展開したが、ほとんど領土を獲得できなかったばかりか、3月中旬以降は逆に小規模な領土を失った可能性すらある。
米シンクタンクが分析:ロシアの「要塞地帯」突破は困難
米国のシンクタンク「戦争研究所(ISW)」は、ロシアがウクライナ東部ドンバス地方の「要塞地帯」を攻略する可能性は低いと分析する。同地域はウクライナが防衛を固めた要衝であり、ロシアの主要な戦争目標の一つとなっている。
ウクライナ政府によると、ロシアは3月に過去最高の月間3万5,351人の死傷者を出し、そのうち96%がドローンによる攻撃によるものだった。ロシアは厳冬期にもウクライナの都市を砲撃し続けたが、ウクライナは防衛能力を向上させ、3月には政府発表で過去最多の3万3,000機のドローンを撃墜した。また、ウクライナは長距離攻撃能力も強化しており、最近ではロシアがイラン戦争のエネルギー利益を享受するのを阻止する攻撃に注力している。
ウクライナの反撃:ロシアのエネルギー輸出能力を40%低下
3月下旬、ロイター通信は、ウクライナの攻撃によりロシアの原油輸出能力の40%が停止したと報じた。攻撃対象はパイプライン、港湾、精製所などで、ロシアのエネルギー収入に打撃を与えている。
ウクライナは依然として米国からの重要な軍事支援(パトリオット迎撃システムや目標情報など)に依存しているが、欧州諸国が軍事援助の主力となりつつある。さらに、ウクライナは独自の軍事生産能力を強化しており、ドローンの製造や多層防空システムの運用に関するノウハウを蓄積している。この技術力を背景に、先月にはペルシャ湾岸諸国や欧州の複数国と防衛協力に関する有利な契約を締結した。
「ウクライナにも切り札が」:自国産軍事力の台頭
トランプ前大統領が言うように、ウクライナは長年にわたる外国からの軍事支援への依存から脱却しつつあり、独自の「切り札」を手にし始めている。ロシアの緩慢ながら着実な前進がウクライナ批判の材料となっていた時期もあったが、現在は戦況が大きく変化している。