シカゴ南部地区で行われた軍事 style 家宅捜索

2019年9月30日深夜、シカゴ南部地区のサウスショアにあるアパートで、連邦政府の移民当局による軍事 style の家宅捜索が実施された。この作戦は、当時のトランプ政権による移民取り締まりの一環として行われたもので、複数のテナントが暴力的な手法に遭遇したと主張している。

被害者の証言:暴力的な逮捕と身体的被害

ナイジェリア出身のテナント、トウルロペ・アキンスリエさん(当時30歳)は、自室で就寝中に爆発音で目を覚ました。直後、重武装した連邦捜査官が部屋になだれ込み、大型の警備犬が右足首を噛みついた。アキンスリエさんは床に倒れ込み、警備犬は足首だけでなく、太もも、腰、手首にまで噛みつき、肉を引き裂いた。アキンスリエさんは激痛に叫びながら、捜査官に「なぜこんなことをするのか」と訴えた。

同じ時間帯、隣室のベネズエラ出身の母子も同様の被害に遭った。16歳の息子は、母親が銃を突きつけられて別の部屋に連行される様子を見て、パニック状態に陥り、過呼吸を起こした。さらに、メキシコ出身の男性が逮捕された際には、捜査官から「アメリカにはいらない」と罵られ、シカゴ市のIDカードを奪われ、目の前で破り捨てられたという。

連邦政府に対する損害賠償請求

この家宅捜索で逮捕された17人のテナント(移民15人、米国市民2人)は、2024年5月、連邦政府と複数の関係機関を相手取り、行政請求書を提出した。弁護士によると、これは連邦政府の不法行為に対する責任追及の第一歩であり、今後数百万ドル規模の損害賠償を求める裁判に発展する可能性があるという。

請求書では、捜査官がアパートに入る際に令状を提示しなかったこと、暴力的な逮捕や拘束、身体的・精神的被害、経済的損失などが主張されている。各被害者は約500万ドルの損害賠償を求めており、シカゴの裁判所で過去に同様の事例で認められた金額を参考にしている。

「どんな金額の賠償金があっても、あの夜のトラウマを償うことはできません。私たちの目的は、連邦政府に責任を負わせることです。」
スサーナ・サンドバル・バルガス(米国最大のラテン系市民権団体「MALDEF」中西部地域担当弁護士)

弁護団の主張:令状なしの家宅捜索は違法

弁護団は、捜査官が令状なしでアパートに侵入したことが憲法違反にあたるとして、連邦政府の責任を追及している。アキンスリエさんは取材に対し、「誰もが法の裁きを受けるべきだ。官憲であっても正しい行動を取らなければならない」と語った。

この事件は、移民政策の強硬化が進む中で行われた強制的な家宅捜索の実態を浮き彫りにしており、人権団体や移民支援団体からも厳しい批判が寄せられている。

今後の展開と法廷闘争

弁護団は、行政請求書の提出を皮切りに、正式な訴訟へと移行する方針だ。連邦政府側は、家宅捜索の正当性を主張する見込みだが、被害者側は証拠となる映像や目撃者の証言を集め、法廷で真実を明らかにする構えだ。

出典: ProPublica