米国の保守メディア界の重鎮だったタッカー・カールソン氏が、トランプ前大統領への10年にわたる支援を正式に撤回し、謝罪した。同氏は1月27日(現地時間)、自身の番組「ザ・タッカー・カールソン・ショー」に出演した兄のバックリー・カールソン氏(共和党系戦略家・スピーチライター)との対談で、自身の発言が「人々を誤解させた」と明らかにした。

「あなたも私と同じように、トランプ氏のために演説を書き、選挙運動を支援してきました。私たちの責任は重大です」とカールソン氏は語った。さらに「単に『考えを変えた』と言うだけでは済まされない。私たちのような人間が、今の状況を招いた一因なのです」と自身の過去の行動を振り返り、深い後悔の念を示した。

カールソン氏は2016年以降、トランプ前大統領を強力に支援してきたが、2020年の選挙結果を巡る陰謀論の拡散や、女性・少数民族への差別的発言が批判を浴び、2023年4月にFox Newsを解雇された。同社は同年4月、選挙結果の捏造を主張したことで選挙システム会社ドミニオン・ヴォーティング・システムズから7億8750万ドルの損害賠償を求められ、和解に至っている。

トランプ氏は最近、イラン戦争を巡る発言をめぐり、アレックス・ジョーンズ氏やキャンディス・オーウェンズ氏、メгін・ケリー氏らかつての支持者との関係を断絶。同氏は先週末、自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」で「決断を疑問視するのをやめろ」と訴える動画を投稿し、カールソン氏を含むかつての支持者を「黙れ」と発言した動画を再び拡散した。トランプ氏によるこうした攻撃は、支持者たちの忠誠心に揺らぎを生じさせている。

カールソン氏の謝罪の要旨

  • 「人々を誤解させた」:自身の発言が視聴者や国民に与えた影響を認め、謝罪。
  • 「意図的ではなかった」:謝罪の言葉を述べつつも、その動機については明言を避けた。
  • 「良心の呵責」:過去の行動を振り返り、長期にわたる後悔の念を表明。

トランプ氏の支持者離れが加速

トランプ氏は近年、自身の政策や発言に対する批判的な態度を示した支持者との関係を次々と断ち、SNSを通じて圧力を強めている。カールソン氏の謝罪は、こうしたトランプ氏の強硬姿勢に対する保守層の反発が顕在化しつつある中で発せられたものだ。

専門家らは、カールソン氏の発言が保守メディア界に与える影響について注視している。同氏はかつてFox Newsの看板ホストとして君臨したが、今やトランプ前大統領との決別を公言することで、保守層内の分裂を象徴する存在となった。