ホルムズ海峡を航行する船舶に対し、偽の通行料請求を送りつける詐欺行為が横行している。ギリシャの海事リスク調査会社MARISKSによると、船主に対して「イラン当局を代表する者」を名乗るメッセージが送られ、ビットコインやテザーでの支払いを要求するという。
MARISKSは、この通信がイラン政府とは一切関係なく、詐欺であると警告している。米国とイランの緊張が続く中、ホルムズ海峡は世界有数のエネルギー輸送ルートであり、現在も多くの船舶が停滞している。
メッセージでは、船舶の書類を「イラン治安当局」に提出するよう指示し、その後にビットコインまたはテザーで通行料が設定されるとされる。支払い後、指定された時間に干渉なく通過できるという触れ込みだが、実際には詐欺の可能性が高い。
MARISKSによると、少なくとも1隻がこの手口の被害に遭った可能性があるという。同社は、海峡を出ようとした船舶が銃撃を受けた事例と関連付けているが、詳細は確認されていない。また、どの企業がメッセージを受け取ったかは明らかになっていない。
イランにおけるビットコイン決済の動向
先月には、イランがホルムズ海峡を通過する船舶に対し、ビットコインでの通行料支払いを義務付ける方針を発表したと報じられた。この措置は、米国との制裁を回避しつつ、停戦期間中の通行管理を強化する狙いがあるとされる。
しかし、専門家はこのような支払い要求には法的・財務的リスクが伴うと指摘する。たとえ資金が制裁対象団体に直接送金されなくとも、イラン関連の制裁レジーム下で企業が責任を問われる可能性があるためだ。
専門家からの警告
海事関係者は、このような偽の請求に応じないよう強く呼びかけている。特に、暗号資産を用いた支払いでは、資金の追跡が困難なため、詐欺のリスクが高まるという。また、イラン当局が正式にビットコイン決済を導入する場合でも、その正当性を慎重に見極める必要がある。
ホルムズ海峡は、世界の原油・LNG輸送の約20%が通過する重要なルートである。軍事活動や規制の変化により、現在も多くの船舶が停滞しており、2万人以上の船員が影響を受けている。