5月14日に行われた上院銀行委員会の審議は、CLARITY法案を巡る激しい攻防の場となった。当初は技術的な法整備と目されていた審議は、党派間の激しい駆け引きと倫理的な対立に転じ、最終的に15対9の賛成多数で法案は可決された。

共和党主導の「善 governance」戦略

委員長のティム・スコット議員は冒頭、CLARITY法案を「時代遅れのルールを近代化し、米国のイノベーション流出を防ぐ」法案と位置づけた。スコット議員は「国家安全保障の強化は、犯罪者やテロリスト、敵対勢力が悪用する扉を閉ざすことだ」と述べ、マネーロンダリング防止や制裁強化を通じて法執行機関の権限を強化すると主張した。

「これはまさに、今日の善 governance(善き統治)とは何かを示すものです」
— ティム・スコット議員

スコット議員は自身の母親がシングルマザーとして苦労した経験を引き合いに出し、金融イノベーションが全ての家庭に届くべきだと強調。共和党陣営は「1年にわたる誠実な交渉」の成果として、当日の審議が円滑に進むとの見通しを示していた。

ウォーレン議員の「業界寄り」批判

しかし、その楽観は民主党のエリザベス・ウォーレン議員の反撃によって一気に崩れた。ウォーレン議員は冒頭から「業界寄りの暗号資産法案」と批判し、米国民が直面する経済的不安に焦点を当てた。

「今、米国の家庭は物価高、医療費、光熱費の負担に苦しんでいます。私たちは物価を下げ、経済の公平性を取り戻す法律を議論すべきです。それなのに、暗号資産業界のためだけに書かれた法案に時間を費やしているのです」
— エリザベス・ウォーレン議員

ウォーレン議員は、CoinDeskの調査で暗号資産を「最優先課題」と考える有権者がわずか1%だったと指摘。さらに、トランプ大統領とその家族が昨年から暗号資産取引で14億ドル以上の利益を得たと主張し、「規制を執行する立場の人間が同時に暗号資産で利益を得るべきではない」と糾弾した。

倫理修正案を巡る攻防

審議が「マークアップ(法案修正)段階」に入ると、雰囲気は一転し、厳しい議論が展開された。スコット議員は委員長権限を行使し、ウォーレン議員ら民主党側が提案した倫理修正案を次々と却下。その結果、共和党は15対9の賛成で法案を通過させた。

民主党側は「業界の利益を優先した法案」と批判を続けたが、共和党は「米国のイノベーションと安全保障を守るための不可欠な措置」と反論。最終的に、法案は上院本会議への進出が決まった。