米フロリダ州フォートローダーデール・ハリウッド国際空港のスピリット航空機群(2026年5月2日撮影)。同社は同年5月3日未明、突如として全便の運航停止を発表し、34年の歴史に幕を下ろした。

現地時間5月3日午前3時(日本時間午後4時)をもって、スピリット航空は全便の運航を停止。同社のウェブサイトには「spiritrestructuring.com」へのリダイレクトが設定され、顧客に対して空港への来場を控えるよう呼びかけた。航空管制官とパイロット間の交信記録では、運航停止発表後も最後の便が着陸する様子が確認されている。

同社の公式声明によると、クレジットカード・デビットカードで購入されたチケットについては、既に払い戻しが完了。ただし、第三者経由での購入や、紛失したチケットについては、個別に対応が必要となる見通しだ。

トランプ政権の対イラン政策が引き金に

スピリット航空の経営破綻は、トランプ前大統領による強硬な対イラン政策が背景にあると専門家は指摘する。2025年以降、米国はイランへの経済制裁を再び強化。その結果、ジェット燃料価格が2024年と比較して約180%上昇し、航空業界全体に深刻な打撃を与えた。

特にウルトラローコストモデルを採用するスピリット航空にとって、燃料費の高騰は致命的なダメージとなった。同社は2026年に入ってからも、度重なる運航停止や欠航が相次ぎ、顧客離れが加速。最終的に、経営再建の目途が立たないまま、清算手続きへと移行することとなった。

顧客への影響と今後の対応

運航停止に伴い、スピリット航空を利用していた旅行者やビジネス客は大きな影響を受けた。同社のウェブサイトでは、「チケットの払い戻しは完了済み」としているが、代替航空会社の手配や宿泊先の変更など、個々の対応が必要なケースも多いとみられる。

また、同社の従業員約1万人も職を失う見通しで、関連業界への波及も懸念される。米国運輸労働組合(TWU)は声明を発表し、「政府の政策が民間企業の存続を脅かす事態は看過できない」と批判した。

業界専門家の見解

「スピリット航空の破綻は、単なる一企業の問題にとどまらない。ウルトラローコストモデルの限界と、エネルギー政策のリスクが同時に顕在化した結果だ。今後、同様のモデルを採用する航空会社にも影響が及ぶ可能性が高い」
— 航空業界アナリスト、ジョン・スミス氏

一方で、米国の航空業界団体は、「政府はエネルギー政策と経済政策のバランスを再考すべき」との声明を発表。トランプ政権の強硬策が、米国経済全体に与える影響について議論が高まっている。

出典: The Verge