トランプ政権による森林政策の転換
米国の森林管理を担う米国森林局(US Forest Service)で、職員の10%削減が進むと同時に、連邦森林の伐採加速や保護区域の石油・ガス採掘解放など、環境保護の枠組みが次々と緩和されている。除草剤「ラウンドアップ」の大量散布もその一環だ。
ラウンドアップの危険性と森林への影響
ラウンドアップは、化学大手バイエルが製造・販売する除草剤で、主成分は発がん性が指摘されるグリホサート。人間への健康被害だけでなく、森林生態系にも深刻な影響を及ぼす可能性がある。
米国森林局の2011年の生態リスク評価によると、グリホサートの主な使用目的は「針葉樹リリース」と呼ばれる管理手法。これは、若い針葉樹の成長を阻害する草や低木を除去するための方法だが、人力による作業はコストが高く、政府は化学薬品散布を選択している。
コスト削減が優先される米国の森林管理
人力による除去作業は、化学薬品散布の3倍のコストがかかる。トランプ政権は、2024年2月に国防生産法を発動し、グリホサートの生産拡大と製造業者の法的責任免除を推進。これにより、森林へのグリホサート散布量はさらに増加する見込みだ。
グリホサート使用量の急増とその背景
カリフォルニア州当局のデータによると、2023年には州内の森林に26万6,000ポンド(約120トン)の純粋なグリホサートが散布された。これは20年前の5倍に相当する数字だ。トランプ政権下では、この数値がさらに上昇する可能性が高い。
バイエルは、グリホサートの原料となるリン酸塩鉱山の建設をアイダホ州の公有地1,800エーカーで計画。トランプ政権の司法長官であるディーン・ジョン・サウアーは、ラウンドアップの健康被害に関する訴訟からバイエルを保護するため、最高裁判決に介入した。さらに、米国環境保護庁(EPA)は、グリホサートが人間の健康に与える影響を研究していたカリフォルニア大学バークレー校の研究所への連邦資金を事実上停止した。
森林破壊の長期的な影響
連邦土地における伐採制限の緩和と合わせ、トランプ政権は長期的な森林保護よりも「巨大な樹木農場」としての土地利用を優先している。環境への影響を無視した政策が、米国の貴重な自然資源を脅かしている。