米国の宗教政治に詳しい専門家らは、ドナルド・トランプ前米大統領がローマ教皇レオ13世に対して行った最近の攻撃が、世論の反発を招いていると指摘する。教皇はイランとの核合意を巡る米国の対応に批判的な立場を取り、トランプ氏はこれに対し「教皇はカトリック教徒を危険にさらしている」と主張したが、その根拠は薄弱で、むしろ教皇支持が優勢であることが新たな世論調査で明らかになった。

この問題について、宗教学者で「Talking Points Memo」寄稿者のサラ・ポズナー氏は、トランプ氏の発言が「的外れ」であり、カトリック教徒からの支持を失うだけでなく、米国民全体からも反感を買っていると分析する。

トランプ氏の教皇批判:根拠なき主張が露呈

トランプ氏は5月7日放送の右派系ポッドキャスト番組で、教皇が「イランの核保有を容認している」と主張し、さらに「教皇は多くのカトリック教徒を危険にさらしている」と発言した。しかし、この発言は事実に反するだけでなく、教皇の平和主義的な立場を歪曲したものだ。

ポズナー氏はこれに対し、「トランプ氏は教皇の平和メッセージに対抗しようと必死で、的外れな主張を繰り返している。もしトランプ氏が教皇との論争で勝利していたなら、わざわざ右派ラジオ番組でカトリック教徒を危険にさらすと発言する必要はなかったはずだ」と指摘した。

世論調査で明らかになった教皇支持の圧倒的優位

米「ワシントン・ポスト」が実施した最新の世論調査によると、トランプ氏の発言に対し、米国民の57%が否定的な反応を示した。さらに、トランプ氏が自身をキリストの姿に見立てた画像を投稿したことについても、87%が拒否反応を示したという。この結果は、米国民がトランプ氏の過激な発言や行動に対し、強い拒否感を抱いていることを示している。

ポズナー氏は「この調査結果は、米国民が平和主義や宗教的権威に対して一定の敬意を払っていることを示している。トランプ氏の攻撃的な言動は、むしろカトリック教徒を含む多くの米国民からの支持を失う結果につながっている」と述べた。

宗教と政治の狭間で揺れる米国

今回の一件は、米国における宗教と政治の関係性の複雑さを浮き彫りにした。教皇は伝統的に米国の保守層からも一定の支持を得てきたが、トランプ氏の攻撃的な発言は、逆に教皇の権威を高める結果となった。

ポズナー氏は「トランプ氏の発言は、カトリック教徒だけでなく、宗教的な価値観を重視する米国民全体からの反発を招いている。これは、米国の政治文化における宗教の役割について再考を迫る事例と言えるだろう」と語った。