スペイン領テネリフェのグランディジャ港で先月、クルーズ船「MVホンディウス」の最終グループの乗客が空港へ向かうバス内からハートマークを示した。同船では先月、ハンタウイルス感染により3人が死亡し、9人が感染していたことが明らかになった。

ハンタウイルスは主にげっ歯類を介して感染するウイルスで、重症化すると肺や腎臓に障害を引き起こす。専門家によると、気候変動による生態系の変化が、げっ歯類の生息域拡大やウイルスの拡散に影響を与えている可能性があるという。

ハンタウイルス感染の現状とリスク

ハンタウイルス感染症は、げっ歯類の排泄物や唾液を介してヒトに感染する。感染者は発熱、筋肉痛、呼吸困難などの症状を示し、重症例では致死率が高い。MVホンディウスの事例は、船内での集団感染が確認された初めてのケースではないが、感染経路の特定が困難なことから、専門家は警戒を強めている。

気候変動と感染症拡大の関連性

近年、気候変動により生態系が変化し、感染症の拡散リスクが高まっている。げっ歯類の生息域が拡大することで、従来は感染が報告されていなかった地域でもハンタウイルスのリスクが生じている。世界保健機関(WHO)は、気候変動が感染症の拡大に与える影響について、警告を発している。

「気候変動は、感染症の拡散パターンを変化させ、新たなリスクを生み出す可能性がある。ハンタウイルスはその代表例の一つだ」
— 世界保健機関(WHO)報道官

今後の対策と予防策

専門家は、ハンタウイルス感染症の予防には、げっ歯類との接触を避けることが最も重要だと指摘する。具体的な対策として、以下が挙げられる。

  • 屋内や倉庫などげっ歯類が侵入しやすい場所の清掃と密閉
  • げっ歯類の駆除と生息地の管理
  • 感染が疑われる場合の早期医療機関受診
  • 気候変動対策の推進による生態系保護

また、MVホンディウスの事例を受け、船舶や航空機などの輸送手段における感染症対策の強化も求められている。