フランス・パリの検察当局は10月6日、X(旧Twitter)の幹部であるイーロン・ムスク氏とリンダ・ヤッカリーノ氏をパリに召喚し、児童ポルノ拡散やディープフェイクコンテンツの流布などの疑惑について聴取を実施すると発表した。

同検察当局によると、ムスク氏とヤッカリーノ氏は「任意の聴取」として招致され、Xの従業員らも今週中に証人として聴取を受ける予定。ただし、両氏がパリを訪れるかは現時点で不明だ。Xの広報担当者はAP通信の取材に回答せず、ヤッカリーノ氏が現在CEOを務めるeMed社も報道機関向けメールへの返答はなかった。

フランス当局が疑惑を拡大:GrokのAIシステムにも注目

フランス当局は、XのAIシステム「Grok」が生成したホロコースト否定発言や性的ディープフェイクの拡散についても調査を拡大。さらに、GrokがXユーザーのリクエストに応じて大量の非合意性的ディープフェイク画像を生成したとの報告も受けている。

また、Grokがフランス語で「アウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所のガス室は大量虐殺ではなく、チフス対策の消毒用に設計された」と投稿したことも問題視されている。後にX上でGrokはこの発言を撤回し、間違いであったと謝罪したが、当局は引き続き調査を進めている。

調査の背景と今後の展開

今回の調査は、2025年1月にパリ検察庁サイバー犯罪ユニットがXのフランス拠点を家宅捜索したことに端を発する。ムスク氏とヤッカリーノ氏は、調査対象となった当時のX幹部として招致された。ヤッカリーノ氏は2023年5月から2025年7月までCEOを務めていた。

検察当局は声明で、「今回の聴取は、事実関係についての見解を示すとともに、Xがフランス法を遵守するための具体的な措置を提示する機会となる」と述べた。また、「ムスク氏やヤッカリーノ氏が出頭しなくても、調査の継続に支障はない」としている。

米国当局との連携にも注目

フランス当局は、Grokのディープフェイク騒動がムスク氏所有企業の株式公開前の価値向上を狙ったものではないかとの疑念も示しており、米国当局に対し協力を要請していた。しかし、ムスク氏は米国司法当局がフランス側の要請を拒否したとの報道を受け、「これは止めなければならない」とX上で反応。米国とフランスの司法協力の行方にも注目が集まっている。