ニューヨーク市ブルックリン区を流れるゴワナス運河は、かつて産業廃棄物の投棄地として長年放置されてきた。しかし近年、環境修復と都市再生の取り組みが進み、かつての汚染された水辺が、住宅地として生まれ変わりつつある。2024年に完成した2つの新しい公共空間は、その象徴的な成果だ。

ランドスケープ・アーキテクチャー事務所SCAPEが手掛けたこれらのプロジェクトは、2019年に発表されたマスタープランに基づいており、運河沿いの再開発を先導している。一つは、2棟の住宅・オフィスビルに囲まれた水辺の広場と遊歩道「サケット・プレイス」。もう一つは、遊具エリアやピクニックスペース、庭園を備えた線形公園「420キャロル」だ。いずれも、かつて立ち入りが制限されていた運河沿いへのアクセスを大幅に向上させると同時に、生態系の回復にも寄与している。

SCAPEのデザイン主任であるジーナ・ワース氏は、「ゴワナスは、都市部における再生プロジェクトとして、短期間で多角的なシステムレベルの変革が進む稀有な事例です」と語る。同氏は、運河とその周辺地域が、環境・社会・経済の面で包括的に再構築されている点を強調した。

サケット・プレイスの夜景
サケット・プレイス。運河沿いの新たな交流拠点として機能している

運河沿いの変化は、2014年に始まった再区画整理計画によって加速した。この計画により、かつての工業地帯だったエリアが、住宅・商業・レクリエーションが融合したミックスドユースの街区へと生まれ変わった。しかし、その背後には、2006年に設立されたゴワナス運河保全協会をはじめとする草の根団体の長年の活動があった。

同協会のエグゼクティブ・ディレクターであるアンドレア・パーカー氏は、「私たちはこれまで、街路樹の手入れや雨水庭園、ゲリラガーデニングなどを通じて、この地域の生物多様性について深い理解を得てきました。特に、環境修復前の生態系や、この土地に適した景観についての知見を蓄積してきました」と語る。同協会は2017年、SCAPEに対し、運河周辺のマスタープラン作成を依頼。2019年に「ローランドス・マスタープラン」として発表された。

420キャロルの遊具エリア
420キャロルに整備された遊具エリア。ファミリー層の利用も増加している

「このマスタープランは、ポジティブな変化を提言し、未来のビジョンを示すものでした」とワース氏は振り返る。「過去40年間、このエリアは不動産投機の対象でしたが、機能面では長らく放置されていました。しかし今、環境回復と都市再生が同時に進行しています」

同マスタープランでは、将来の開発が環境修復に貢献するための法的枠組みが定められた。例えば、雨水管理システムの導入や、生態系に配慮した植栽計画などが義務付けられている。これにより、単なる景観整備にとどまらず、持続可能な都市環境の構築が目指されている。

ゴワナス運河の再生は、単なる環境修復にとどまらない。新たな公共空間の整備は、地域コミュニティの結束力を高め、不動産価値の向上にもつながっている。かつての「汚染された水路」のイメージは徐々に払拭され、今やブルックリンを代表する魅力的な居住エリアとして注目を集めている。