ストラテジー社(旧マイクロストラテジー)のマイケル・セイラーCEOとフォン・リーCEOは、2025年6月25日の決算発表時の電話会議で、同社が保有するビットコイン(BTC)の売却を検討していることを明らかにした。これまで「決して売らない」と繰り返していた方針を覆す、異例の転換となった。
同社は今後、一部のBTCを売却して株主への配当金に充てる可能性があると説明。その理由として、新たな戦略を市場に周知させるための「免疫策」と位置付けた。リーCEOは、同社が「純粋な買い手」であり続ける一方で、優先株式の配当を賄うためにBTCを売却するシナリオを示した。
「決して売らない」の繰り返しからの転換
この方針転換は、セイラー氏が過去に繰り返し表明してきた「ビットコインを売却しない」という強固な姿勢と対照的だ。例えば、2022年1月にはビットコイン価格が約40%下落していた時期に、ブルームバーグの取材でセイラー氏は「決して売らない。私たちは買うだけだ。ビットコインを保有し続ける」と明言していた。
「決して売らない。私たちは売り手ではない。買うだけで、保有し続ける。それが私たちの戦略だ」
— マイケル・セイラー(2022年1月)
2024年2月にはブルームバーグTVに出演し、「勝者を売る理由はない。ビットコインこそが出口戦略だ」と発言。同年3月にはヤフーファイナンスのインタビューで「資本の最善の使い道はビットコインを買い、保有し続けることだ」と述べ、ビットコインを売却しないという方針を改めて強調していた。
その際、ヤフーファイナンスのアナウンサーから「ビットコインを最終的に売却する計画はないのですか?資産を保有し続けるだけで価値が上がるのでしょうか?」と尋ねられたセイラー氏は、次のように答えた。
「違う言い方をしましょう。法定通貨を価値の保存手段として使う人々には、名前があります。私たちは彼らを『貧困層』と呼びます」
2024年の第3四半期の決算発表では、ビットコインを「永続的な treasury reserve asset(財務準備資産)」と呼び、無期限に保有し続ける方針を示していた。
「腎臓を売ってでもビットコインを手放すな」からの180度転換
2025年2月には、セイラー氏は再び「決してビットコインを売るな」と発言。同年2月には「21のビットコインルール」を発表し、その中で第20条に「ビットコインを売ってはならない」と明記していた。また、同年2月にはビットコイン価格が8万ドルを下回った際に「たとえ腎臓を売ってでもビットコインを手放すな」と発言していた。
2025年3月には「ストラテジー社はビットコインを決して売らない」と述べていたが、わずか4ヶ月後には自身の購入パターンについて「私は永遠に高値で買い続けるだろう」と発言していた。
2026年2月にCNBCの「スクウォークボックス」に出演した際には、アンドリュー・ロス・ソーキン氏に対し「私たちは売らない。買い続ける」と語っていたが、今回の発表でその方針が大きく転換したことになる。
市場と投資家の反応
ストラテジー社は2020年からビットコインの大量購入を続け、現在では約25万BTC(時価総額約200億ドル相当)を保有している。同社のビットコイン購入戦略は、ビットコインの価格変動に大きな影響を与えてきたが、今回の売却検討発表は市場に大きな衝撃を与えている。
一部のアナリストは、この方針転換がビットコインの価格下落圧力となる可能性を指摘。一方で、ストラテジー社が配当を通じて株主還元を強化することで、長期的な株主価値の向上につながる可能性もあるとの見方も出ている。