米国発のアウトドア用品ブランド「ヤティ(Yeti)」は、設立20周年を機に、これまでのブランドアイデンティティを刷新する大胆な広告キャンペーンを展開している。同社のロゴは、丸みを帯びた四角形の中に大文字のサンセリフ体で「YETI」と記されたシンプルなデザインが特徴だったが、今回のキャンペーンでは、ロゴからブランド名を削除し、代わりに「Hike(ハイキング)」「Surf(サーフィン)」「Golf(ゴルフ)」「Fish(フィッシング)」「Hunt(ハンティング)」「Snow(スノー)」などの4文字ワードを採用した。

この変更は、ヤティが単なるクーラーボックスメーカーではなく、バッグ、飲料用品、キッチン用品、ペット用品、アパレルなど幅広い商品を展開する総合ブランドへと進化していることを象徴している。同社は、若年層や女性、スポーツ愛好者、親世代など新たな顧客層の獲得を目指しており、今回のキャンペーンはその戦略の一環だ。

ブランド拡大と売上成長を支える戦略

ヤティは2006年に設立され、2024年に設立20周年を迎えた。同社は2024年2月の決算発表において、前年比5%の売上成長を達成したことを明らかにした。特に飲料用品や国際市場での売上が伸びており、今後はバッグ事業にも注力する方針だ。こうした事業拡大を背景に、ヤティは初めて外部の広告代理店であるWieden+Kennedy Portlandと提携し、新しい広告キャンペーンを展開している。

今回のキャンペーン「Four Letters(フォー・レターズ)」は、スポーツイベントや都市部の屋外広告、デジタル広告を通じて展開される。具体的には、ニューヨークやロサンゼルスなどの大都市、さらにはFIFAワールドカップ2026PGA選手権NCAA女子ラクロス選手権などのスポーツイベントで、各イベントに合わせた4文字ワードを使用したモバイル看板広告が展示される予定だ。

ロゴ廃止がもたらすメリットと課題

ヤティのロゴは、クーラーボックスや水筒などの商品にシンプルで洗練された印象を与えてきた。しかし、ブランド名を削除したことで、新規顧客にとってロゴだけではブランド認知が難しくなるという課題も浮き彫りになった。例えば、「Wild(ワイルド)」や「Dirt(ダート)」といった4文字ワードが、ヤティのブランドを連想させるかどうかは、既存の顧客にとっては明確でも、新規顧客にとっては曖昧な場合がある。

この点について、ヤティのロゴは、バーガーキングのように独自のカラーやフォント、形状の組み合わせがなく、ブランド名がなければ認識しづらいという指摘もある。そのため、このキャンペーンの効果を最大化するには、商品やシチュエーションとの関連性を示すビジュアルコンテキストが重要となる。例えば、クーラーボックスに「Hike」や「Surf」のステッカーが貼られている様子や、新しい4文字ワードがバッジとして表示される画像などが、ブランド認知を高める鍵となるだろう。

若年層やスポーツ愛好者へのアプローチ

ヤティは、今回のキャンペーンを通じて、ブランドの柔軟性とカスタマイズ性を強調している。ロゴを4文字ワードに置き換えることで、ターゲット層ごとにメッセージを調整しやすくなり、若年層やスポーツ愛好者、親世代などに対して、よりパーソナライズされたアプローチが可能になる。これにより、ヤティは単なるアウトドア用品ブランドから、幅広いライフスタイルに関連するブランドへと進化を遂げようとしている。

同社の広告代理店であるWieden+Kennedy Portlandは、ヤティのブランドメッセージを「アウトドアアクティビティとのつながり」に焦点を当て、より包括的なブランドイメージの構築を支援している。今後、ヤティはこの戦略をさらに推進し、グローバル市場での存在感を高めていく計画だ。