WLDが98%下落、マスクによるオルトマン提訴が要因に
ワールドネット(旧ワールドコイン)の暗号資産WLDが、共同創設者のサム・オルトマンとテスラCEOイーロン・マスクの法廷闘争を背景に、史上最高値から98%下落した。マスクはオルトマンがOpenAIを「人類に貢献する非営利団体」にすると約束したにもかかわらず、マイクロソフトやアマゾンとの巨額取引で利益を得たと主張。同社の経営陣解任を求める訴訟を起こしたが、金曜日には詐欺容疑を自主的に取り下げた。
ワールドネットのビジネスモデルと批判
WLDは、オルトマンが設立したTools for Humanityが開発した生体認証IDシステム「ワールドネット」の基軸トークンだ。ユーザーは Orbと呼ばれる装置で網膜をスキャンすることでWLDを獲得し、生体データに紐づくIDを発行される。しかし、このビジネスモデルは世界的に規制当局の監視対象となっており、特に低所得国のユーザーから生体データを集める手法が問題視されている。
暗号資産調査団体ZachXBTは、WLDの「過小流通(低流動性)」を指摘し、「SBF/FTXと同レベルの搾取的手法」と批判。
「ワールドネットは低所得国のユーザーから少額のWLDを与える見返りに生体データを搾取し、認証済みアカウントが闇市場で取引される事態を招いた」と述べた。
ユーザー離れと取引量の激減
ワールドネットの主要指標は2025年のピークから急落している。2023年に目標としていた10億人のOrb認証ユーザー獲得は達成できず、2025年には9億8800万人にとどまった。同社はかつてこれらの統計を公開していたが、現在はウェブサイトから削除されている。
取引量とトランザクション数も大幅に減少。2024年9月には1日あたり470万件のトランザクションがあったが、2025年9月時点では126万件と73%減少。取引高も2024年9月には1767万ドルを記録したが、2025年9月には15万1000ドルまで99%減少した。アクティブウォレット数も2025年には86万8900件を記録したが、2025年9月には8万2700件まで激減した。
OpenAIも苦戦、成長目標未達の報道
オルトマンがCEOを務めるOpenAIも、成長の停滞が報じられている。ウォールストリートジャーナルによると、同社は「週10億アクティブユーザー」という内部目標を達成できていないほか、CFOが数百億ドル規模の支出を賄う収益成長の見通しに懸念を示していると伝えられている。
さらに、CoinTrackerのユーザーデータが第三者によるSMSハッキングで流出したことも明らかになった。OpenAIは最近、マイクロソフトとの提携を再編し、同社に独占的なアクセス権を与えている。
ワールドネットの未来と規制リスク
ワールドネットのビジネスモデルは、生体認証データの取り扱いに関する規制強化が進む中で、ますます厳しい目にさらされている。同社の急激なユーザー離れと取引量の減少は、市場の信頼を失ったことが要因と見られ、今後の回復は不透明だ。一方で、OpenAIの経営陣も法廷闘争や成長の停滞に直面しており、両社の今後の動向が注目される。