人気コミックを原作とするアニメシリーズ「インビンシブル」の世界を舞台にした格闘ゲーム「インビンシブルVS」が発売された。同作は、原作の特徴である過激なバトルとキャラクター同士の激しい戦いを再現する絶好の機会だったはずだが、残念ながら期待を大きく裏切る内容となった。

「インビンシブルVS」は、Amazon Prime Videoで配信されている同名アニメシリーズの世界観を拡張したゲームで、主要なキャラクターの多くはアニメ版と同じ声優陣が担当している。しかし、一部の重要な役どころでは、代役が起用されているのが目立った。例えば、スティーブン・ユアンが演じる予定だった「インビンシブル」役には、アレクス・リーが起用された。リーは見事にユアンの声を再現していたが、それでも違和感は拭えなかった。同様に、ウォルトン・ゴギンズの「セシル」やセス・ローゲンの「アレン・ザ・エイリアン」も、原作とのギャップが否めなかった。

ゲームのストーリーは、アニメ版のプロデューサー兼ライターの一人によって執筆されたにもかかわらず、その出来は非常に残念なものだった。ストーリーの実質的なプレイ時間は約75分と、格闘ゲームのキャンペーンとしては極めて短い。数少ないカットシーンは美麗に描かれているものの、ストーリーの展開はほとんどなく、キャラクターの関係性や世界観の掘り下げも不十分だった。タイトルキャラクターである「インビンシブル」をはじめ、アニメ版に登場する主要キャラクターたちも多数プレイアブルキャラクターとして収録されているが、その中に新キャラクター「エラ・メンタル」が追加されている。しかし、彼女の存在はストーリーにほとんど影響を与えず、単なる「地球のヒーローの一人」として扱われているに過ぎなかった。

カットシーンのアニメーションは高品質だが、ストーリーの展開が乏しいため、その良さが活かされていない。筆者はアニメ版のファンであり、ゲームに登場するキャラクターの多くはおなじみの存在だ。しかし、ゲームの雰囲気はアニメ版の持つ独特のフレアやユーモアに欠けており、原作の世界観を活かした meaningful な拡張にはなっていなかった。

「インビンシブルVS」は、原作の世界観を活かした格闘ゲームというコンセプト自体は非常に魅力的だった。しかし、ストーリーの薄さやキャラクターの扱いの甘さが目立ち、結果として大きなチャンスを逃してしまったと言わざるを得ない。果たして、格闘ゲームというジャンルは、この作品にとって本当に適した選択肢だったのだろうか。