中国政府は4月27日、米テック大手メタによるAI企業マンスの買収を解消するよう正式に要請した。同社は中国人起業家によって設立されたが、中国当局は国家安全保障上の懸念を理由に外資によるマンスへの投資を禁止した。

この措置は、米中両国のテクノロジー企業間におけるM&A(合併・買収)が、政府当局による厳格な審査を経てますます困難になっていることを示している。特にAI分野では、米中間の技術覇権争いが激化しており、両国の規制当局が投資や技術移転に対して強硬な姿勢を示している。

マンスのAI技術と買収経緯

マンスは2025年3月に「汎用AIエージェント」を発表し注目を集めた。この技術は、不動産サイトの検索や航空券・ホテルの予約など、ユーザーのタスクを自動で実行する「エージェントラッパー」と呼ばれる仕組みで、基盤モデルとしてAnthropicのClaude 3.7 Sonnetを活用していた。

マンスのAIエージェントは、複数のAIエージェントで構成されており、タスクの計画・実行・検証を分担していた。具体的には、プランナーがタスクを割り当て、エグゼキューターがウェブサイトの閲覧、スプレッドシートの作成、ソフトウェアツールの操作、さらには新しいアプリケーションのコーディングまで行うことが可能だった。

中国当局の審査と規制強化

メタは2025年12月にマンスを20億ドルで買収したが、中国当局は2026年1月にこの取引を審査対象に指定。さらに、マンスの共同創業者2人に対し、調査期間中の中国からの出国を禁止した。その後、4月に至って正式に買収の解消を命じた。

中国政府は、外資によるAI技術の獲得が国家安全保障に与える影響を懸念しており、特に米国企業による中国のAIスタートアップの買収に対して厳しい姿勢を示している。この動きは、米中間のAI技術を巡る競争がますます激化していることを象徴している。

米中AI競争の今後

米中両国は、AI分野における技術的優位性を確保するため、研究開発への投資を加速させている。その一方で、技術流出や国家安全保障上のリスクを理由に、相手国企業による投資や買収を規制する動きが強まっている。

専門家は、今後も米中間のAI分野における対立が続くと予測しており、テクノロジー企業は規制の動向を注視しながら、グローバルな事業展開を模索する必要があると指摘している。