昨年、太陽系に突如飛来した恒星間彗星3I/ATLASは、その劇的な軌跡から注目を集めた。この彗星の起源を巡る研究が、チリのアルマ電波望遠鏡を用いた観測により進展している。

英学術誌Natureに発表された最新研究によると、3I/ATLASは銀河系の辺境に位置する低温で孤立した領域で形成された可能性が高いという。研究チームは、彗星が太陽に接近した際に放出した水蒸気を分析し、その組成から起源を推定した。

重水素比率の異常な高さが示す起源

彗星が太陽に近づくと、核から大量の水蒸気が放出される。3I/ATLASは、11月に太陽に接近した際、1日あたりオリンピックプール70杯分に相当する水を放出したと推定されている。この水蒸気中の重水素比率を調べたところ、通常の太陽系内彗星と比較して30倍以上、地球の海水と比較しても40倍以上高い値を示した。

重水素は通常の水素よりも重い同位体で、水分子中の水素原子が重水素に置き換わった「重水」の割合が高いことは、極低温環境下で形成されたことを示唆する。研究主著者のルイス・サラザール・マンツァノ氏(ミシガン大学)はBBC Sky at Nightの取材に対し、「これまで他の惑星系や彗星で観測されたことのないレベルだ」と語った。

70億年以上前の形成か?

この重水素比率の高さから、3I/ATLASは少なくとも70億年以上前に、銀河系内で放射線が少なく、近隣の恒星がほとんど存在しない極寒の領域で形成されたと考えられている。これは、太陽系の形成時期(約45億年前)よりもはるかに古い時代にあたる。

共同研究者のテレサ・パネケ・カレーニョ氏(ミシガン大学)は、「私たちの太陽系と同じ条件で形成された星系が宇宙に普遍的ではないことを示す証拠だ」と述べる。同氏はさらに、「これは当たり前のように思えるが、実際に証明する必要がある」と強調した。

太陽系形成の多様性を示す発見

3I/ATLASの起源解明は、彗星そのものの歴史だけでなく、他の星系の形成過程についても新たな知見をもたらす。研究チームは、この発見が「宇宙における星系形成の多様性」を裏付ける重要な手がかりになると期待している。

出典: Futurism