米保健福祉省、母の日に新サイト「Moms.gov」を公開

米国保健福祉省(HHS)は母の日に、妊娠・出産支援を目的とした新たな公式サイト「Moms.gov」を公開した。同サイトは「母親と家族の健康と福祉を支援する情報とガイダンスを提供する」と発表されている。

「命の選択肢」を推進する支援センターへのリンクを掲載

Moms.govの目玉の一つが、Option Lineと呼ばれる妊娠支援センター検索ツールへのリンクだ。同センターは、中絶を検討する人に対し、手術のリスクについて説明したり、「心変わりしても大丈夫」と伝えるなど、中絶回避を促す活動を行っている。

科学的根拠を無視?中絶の安全性に言及せず

同サイトでは、中絶が妊娠を終了させる安全な方法であるという、数十年にわたる科学的研究の成果については一切触れられていない。一方で、栄養ガイドラインや、子ども向けの「$1,000 Trump口座」設置に関する情報なども掲載されている。

「命の大切さ」を強調するHHSの姿勢

「Moms.govは、健康な妊娠を支援し、若い家族を強化し、子どもたちにより明るい未来を築くための重要なツールを提供します。これが『アメリカを再び健康にする』方法です」

ロバート・F・ケネディ・ジュニア HHS長官

Option Lineが推奨する「危機的妊娠センター」の実態

Option Lineの検索ツールでは、同団体が推奨する「妊娠支援センター」の一覧が表示される。しかし、これらの多くは「危機的妊娠センター(CPC)」と呼ばれる施設であり、実際には中絶や一部の避妊方法へのアクセスを妨げる活動を行っていると指摘されている。

ジョージア大学公衆衛生学部のアンドレア・スワルツェンドルバー博士とダニエル・ランバート博士が運営する「Crisis Pregnancy Center Map」によると、これらのセンターは「正当な生殖医療クリニック」を装っているという。

米産婦人科学会もCPCの実態を警告

米国産婦人科学会(ACOG)は、CPCが「中絶ケアや一部の避妊方法へのアクセスを妨げる」と指摘。一方で、Moms.govでは、これらのセンターが「支援的なサービスを提供している」と主張している。

「命と家族を重視する政権の一環として、HHSは健康な妊娠を支援し、若い家族を強化するための重要なツールを提供します。Moms.govに掲載されている妊娠センターや連邦資格健康センター(FQHC)は、妊娠中の女性に支援的なサービスを提供しています」

エミリー・ヒラード HHS報道官

HHSによるCPC支援の歴史的背景

HHSはこれまで、CPCへの直接的な支援も行ってきた。2018年から2024年にかけて、少なくとも16の施設に計3400万ドルを助成。さらに今年4月には、Title X家族計画プログラムの廃止案を発表。従来の避妊促進から「最適な健康(身体的・精神的・社会的 wellbeing)」の推進へと方針転換を図っている。

専門家からの批判も

同政策に対し、専門家からは「科学的根拠に基づかない政策」との批判が上がっている。一方で、HHSは「命の大切さを重視する政権の方針に沿った取り組み」と主張している。