「国内利得条項」とは

「国内利得条項」は、合衆国憲法第2条第1項第7節に規定された条項で、大統領が在任中に連邦政府以外から報酬や利益を受け取ることを禁じている。トランプ前政権では、外国政府や州政府がトランプ所有の不動産を利用したことが憲法違反にあたるとの訴訟が相次いだが、いずれも時効や手続きの遅れで棄却された。

新たな訴訟の背景

今回の訴訟は、憲法責任センター(Constitutional Accountability Center)が、トランプ大統領とフロリダ州、マイアミ・デイド・カレッジ、州当局者らを被告として提起した。原告は、トランプ大統領図書館の建設用地としてマイアミ市中心部の土地が寄贈されたことを問題視し、憲法違反を主張している。

寄贈された土地の詳細

2025年、フロリダ州とマイアミ・デイド・カレッジは、マイアミ市中心部の土地をトランプ大統領図書館の建設用地としてトランプ側に寄贈した。この土地は、Biscayne Bay(ビスケーン湾)を見渡す立地で、周辺の景観や不動産価値に影響を与える可能性があるとされる。

原告の主張

訴状によれば、原告は以下の2つのグループで構成される。

1. 周辺住民

  • 図書館建設予定地の近隣に居住する2人の住民
  • 主張:図書館建設によりBiscayne Bayの景観が遮られ、交通量が増加し、生活の質が低下。さらに、不動産価値が下落する恐れがある。

2. 農業団体「Sistrunk Seeds(Dunn's Farm)」

  • 都市型農場の運営を計画していた団体
  • 主張:マイアミ・デイド・カレッジとの協力関係があり、Biscayne Bayに面した土地の利用を期待していたが、土地が図書館用地として寄贈されたため、計画が頓挫した。
  • 訴状には「マイアミ・デイド・カレッジとDunn's Farmの長年の協力関係から、カレッジ側が土地の提供を真剣に検討していたことは明らか」と記載されているが、具体的な契約や合意は存在しない。

憲法違反の主張

原告は、土地の寄贈が「国内利得条項」に違反すると主張している。具体的には、州政府が大統領に対して報酬や利益を提供したと位置付け、憲法違反を訴えている。しかし、この主張が認められるかどうかは、裁判所の判断にかかっている。

過去の経緯と課題

トランプ前政権では、外国政府や州政府がトランプ所有の不動産を利用したことが「外国利得条項」違反にあたるとの訴訟が複数提起された。しかし、いずれの訴訟も原告側の手続き遅延や時効により棄却され、実質的な判断は下されなかった。今回の訴訟でも、同様の課題が浮上する可能性がある。

「原告側は、憲法違反の緊急性を強調していたが、実際には手続きの延長や中断を繰り返していた。その結果、時効が成立し、訴訟は棄却された。」

—— 過去のトランプ政権下の訴訟に関する専門家のコメント

今後の展望

今回の訴訟が「国内利得条項」の解釈や適用に関する新たな判断をもたらすかどうかは不透明だ。憲法責任センターは、過去の敗訴経験を踏まえ、今回の主張が認められる可能性について慎重な見方を示している。一方で、原告側は、景観や資産価値への影響を根拠に、裁判所の判断を仰ぐ構えだ。

今後、裁判所がどのような判断を下すのか、注目が集まる。

出典: Reason