米国のガソリン価格が高騰する中、トランプ政権が連邦ガソリン税の一時停止に前向きな姿勢を示した。エネルギー長官の発言は、ホワイトハウスの公式見解を若干緩和するものとなった。
ガソリン価格は4年ぶり高水準、選挙戦で圧力
エネルギー省のクリス・ライト長官は8月7日、NBCの番組「Meet the Press」に出演し、ガソリン税の一時停止について「消費者と企業の負担を軽減するためのあらゆるアイデアを検討している」と述べた。しかし同時に「すべての選択肢にはトレードオフが伴う」と慎重な見方も示した。
米国のレギュラーガソリン平均価格は8月7日時点で1ガロンあたり4.52ドルに達し、ロシアのウクライナ侵攻前の3ドル前後から大幅に上昇した。トランプ大統領は価格高騰による政治的な逆風に直面しており、民主党議員らは連邦税18.3セントの停止を提案している。
ホワイトハウスの公式見解は依然慎重
先週、ホワイトハウスの高官はガソリン税停止について「現在検討中ではない」と明言していた。連邦税の停止は議会の承認が必要だが、トランプ大統領はしばしば大統領令で独自の対応を取ってきた経緯がある。
連邦ガソリン税とディーゼル税(24.3セント)は、道路や橋梁などの交通インフラ整備を支えるHighway Trust Fundの財源となっている。過去数十年にわたり、ガソリン価格高騰時には連邦税の一時停止が議論されてきたが、実現した例はない。
即効性は限定的、議会の承認が不可欠
Bipartisan Policy Centerの試算によると、連邦税の完全停止でもガソリン価格は1ガロンあたり10~16セント程度しか下がらず、戦争による供給不足の影響を打ち消すには力不足だ。米国の小売ガソリン価格は国際市場の原油価格に連動しており、ホルムズ海峡の通航制限など地政学的リスクが価格を押し上げている。
トランプ政権は選挙戦に向け、エネルギー価格対策の議論を本格化させている。ライト長官はCBSの番組「Face the Nation」で、イランの核開発が中東のエネルギー供給に長期的な脅威をもたらすと指摘しながらも、ウクライナ戦争による「短期的な混乱」を認めた上で、「長期的な平和とエネルギー供給の安定のためには、このトレードオフが必要だ」と述べた。
これまでの対応策と限界
ホワイトハウスはこれまで、戦略石油備蓄の放出やジョーンズ法の適用免除など、燃料供給の緩和策を講じてきた。しかし、これらの措置は価格高騰の主因である原油供給不足を根本的に解決するものではなく、効果は限定的だ。
選挙戦が迫る中、トランプ政権はエネルギー政策の議論を加速させる可能性があるが、具体的な実行には議会の協力が不可欠となる。