米国時間10月23日、グラフィックプロセッシングユニット(GPU)大手のNVIDIAと、光学技術のリーディングカンパニーであるコーニングは、AIデータセンター向け光ファイバーケーブルの大規模生産に向けた5億ドル規模の提携を発表した。
NVIDIAはAIモデルの構築・学習に不可欠なGPUを製造しており、この提携によりAIシステムのレイテンシー(遅延)とエネルギー消費を削減する狙いだ。さらに、コ・パッケージド光学技術(チップと光学部品の一体化)への移行も加速すると見られる。同社は米証券取引委員会(SEC)への提出書類で、コーニングに対し300万株の株式購入権と、さらに1500万株の追加購入オプションを保有していることも明らかにした。
米国製造業の拡大を支援
コーニングは今回の提携に伴い、光学接続製品の生産能力を10倍に拡大すると発表。テキサス州とノースカロライナ州に新工場を建設し、3000人以上の雇用を創出する計画だ。コーニングのウェンデル・ウィークスCEOは声明で、「このコミットメントは米国の製造拠点拡大を直接支援し、3000人以上の高賃金労働者を生み出す」と述べた。
この動きは、AI技術開発競争の激化を象徴するものだが、それだけではない。コーニングは1851年の創業以来、技術革新を続ける「米国製造業の生き字引」とも呼べる存在だ。同社はトーマス・エジソンの白熱電球用バルブの設計、耐熱ガラス「パイレックス」の開発、そして現在ではVRヘッドセット用ガラスの製造まで手がけてきた。
先端技術産業を支えるコーニングの戦略
米国政府とテクノロジー投資家がハードテック(実体技術)へのシフトを進める中、コーニングはすでに米国の先端製造業サプライチェーンに不可欠な存在となっている。同社の最新の取り組みは、Meta向け光ファイバーケーブル供給契約(最大60億ドル規模)や、ノースカロライナ州ヒッコリーに新工場を建設する計画など、多岐にわたる。
コーニングはこのほか、データセンター向け光ケーブルを手がけるルーメン・テクノロジーズ、量子チップメーカーのザナドゥ、半導体大手のブロードコム、そして米国で唯一完全国内生産される太陽電池パネル向けシリコン基板を製造するサンイヴァやヘリエンといった企業と提携を結んでいる。
業界アナリストは、企業が銅配線から光ファイバーへの移行を進める中、コーニングの光学技術が重要な役割を果たすと指摘する。加えて同社はスマートフォン向け強化ガラス「ゴリラガラス」事業でも世界をリードしており、電子機器用ガラス市場でも圧倒的なシェアを誇る。
170年以上にわたる技術革新の軌跡
コーニングの強みは、時代のニーズに合わせて事業領域を進化させてきた点にある。創業当初はガラス製造が主力だった同社は、電球用バルブ、実験用ガラス器具、耐熱調理器具、そして現在の先端技術向けガラスまで、常に新たな分野を開拓してきた。
一般的に企業の寿命は数十年程度とされるが、コーニングは170年以上にわたり存続し続けている。これは、高額な設備投資が必要な製造業において極めて珍しいケースだ。同社の成功要因として、技術革新への絶え間ない投資と、時代の変化に柔軟に対応する経営戦略が挙げられる。
「コーニングは、技術の進化とともに常に新たな可能性を切り開いてきた。AI時代においても、その存在感はますます高まっている」