米国議会は先週、FISA第702条に基づく米国の監視権限の18カ月延長案を巡り、与野党からの批判を受けて否決された。これにより議会は、4月30日の期限を前に10日間の暫定延長を可決するにとどまった。
下院議長のマイク・ジョンソン議員(共和党・ルイジアナ州)は先週木曜、監視権限を3年間延長する新法案を提出。同法案には、政府当局者が第702条を用いて米国人を標的にできないとする条項が含まれていた。第702条では、米国の諜報機関や法執行機関が外国人を対象とした電子通信の捜査を令状なしで実施できるが、その際に米国人との通信が偶発的に傍受されるケースもある。
改革内容に対する批判相次ぐ
しかし、同法案の米国人保護条項について、監視強化につながるとして批判が集中している。監視・監視プロジェクトセンター(Center for Democracy and Technology)のジェイク・ラペルーク副所長は記者会見で「この法案は実質的な改革がなく、空虚な内容だ」と述べた。
米国市民自由連合(ACLU)のシア・ハマダンシー上級政策顧問も「米国人を対象とした捜査に令状や裁判所の関与を求める条項はない。既存の法律を再確認したに過ぎず、問題解決につながらない」と指摘した。
保守派からも「見せかけの改革」との声
保守系団体「Project for Privacy and Surveillance Accountability」のジーン・シェア法律顧問は、同法案を「見せかけの改革」と呼んだ。一方で、同法案を支持する議員も一部に存在する。共和党のウォーレン・デイビッドソン議員は「この改革により米国市民のプライバシー保護が強化される」と述べ、法案の早期承認を求めた。
しかし、共和党内の強硬派や民主党の多くは依然としてジョンソン議員の提案に反対している。民主党のテッド・リュー議員(カリフォルニア州)はソーシャルメディアで「FBI長官カシュ・パテル氏に第702条の権限を与えることは信頼できない」と強く批判した。
今後の展望
議会は4月30日までに恒久的な解決策を見出す必要があるが、現時点では与野党の合意形成が難航している。監視権限の行使に関するさらなる議論が続く見通しだ。