AI映像が「証拠」に?アルテミス陰謀論の新たな波

NASAの月面ミッションを巡る陰謀論は、これまでも存在したが、アルテミス計画の発表を機に再燃している。しかし今回は、AI技術の普及が状況を一変させた。陰謀論者たちは、AIで生成された偽映像を「証拠」として拡散し、自身の主張を正当化しようとしているのだ。

「証拠」とされるAI映像の実態

フランスのニュースメディアFrance 24が指摘するように、ある動画では4人の宇宙飛行士がハーネスで吊るされた状態で緑のスクリーンの前で映っている。しかし、その映像には明らかな矛盾が存在する。例えば、浮かぶアルテミスのマスコットに干渉するテキストの表示不良、欠損した手足、指の本数の間違いなどだ。これらはすべて、AIで生成された映像特有の「グリッチ」であり、明らかな偽物である。

専門家によると、こうした映像が「証拠」として拡散される理由は二つ考えられる。一つは、自身の信念を貫くあまり、偽の証拠を用いて他者を説得しようとする「熱心な信者」の存在。もう一つは、ソーシャルメディア上で無知な陰謀論者をからかう「トロール」の存在だ。

専門家が指摘するAI技術の危険性

カナダ放送協会(CBC)が見つけた別のAI映像では、宇宙船内部の偽の映像が公開されている。この映像は、4人の宇宙飛行士から始まり、小さな窓越しに地球を映すシーンに切り替わる。しかし、誰がこの映像を撮影したのかという疑問が生じる。情報操作の専門家タル・ハギン氏は、この映像が「2つの異なる画像をAIでつなぎ合わせたもの」であると結論付けた。具体的には、アルテミスIIの乗組員が手を振る画像と、窓から見た地球の画像をAIが合成したという。

ハギン氏は「AIが2つの画像をつなぎ合わせた」と指摘し、こうした技術が偽情報の拡散を加速させていると警告する。

ソーシャルメディア上での拡散状況

陰謀論の拡散は、ソーシャルメディア上で顕著だ。例えば、X(旧Twitter)で「Artemis leaks」と検索すると、月を模した偽の映像や「NASAはAIとCGI、グリーンスクリーンを使用した」といったトンデモ理論が氾濫している。同様の状況はFacebookでも見られ、地球平面説を唱えるアカウントが「NASAはCGIで宇宙ミッションを捏造した」と主張するために、AIで生成された映像を用いている。

情報の信頼性が揺らぐ時代

こうした状況は、単に陰謀論が拡散しているという問題にとどまらない。AI技術の進化が、真実そのものの概念を揺るがせているのだ。専門家は、AIで生成された映像が「証拠」として受け入れられることで、情報の信頼性が根底から揺らぎ、社会全体のリテラシーが低下する危険性を指摘する。

アルテミス計画に関する陰謀論は、今後もAI技術とともに進化し続けるだろう。しかし、その一方で、我々一人一人が情報の真偽を見極めるリテラシーを高めることが、ますます重要になっている。

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「月面宇宙船内でヌテラ瓶が漂流」という奇妙な動画が話題となっている。アルテミス計画の乗組員が月面に向かう際、宇宙船内でヌテラの瓶が漂う様子が捉えられていた。この映像は、宇宙ミッションのリアルな一面を垣間見せるものとして注目を集めている。

出典: Futurism