アルテミスIIの初期評価:有人月周回ミッションの成果と課題

NASAは、先月行われたアルテミスIIミッションの初期評価を開始した。このミッションでは4人の宇宙飛行士が月へと到達し、無事地球に帰還した。アルテミスIIは、2027年以降に計画されている有人月面着陸ミッションに向けた重要なテスト飛行として位置づけられている。

オリオン宇宙船とSLSロケットの性能

NASAによると、オリオン宇宙船の耐熱シールドは「想定通りの性能を発揮し、特異な状態は確認されなかった」と発表された。また、有人ミッションとしては初となるアルテミスIと比較して、耐熱シールドの損耗も少なかったという。着水地点は目標地点から2.9マイル(約4.7キロメートル)の誤差に収まり、大気圏再突入時の速度も予測値と1マイル毎時(約1.6キロメートル毎時)の誤差に抑えられた。

SLSロケットについても、NASAは「メインエンジン停止時、コアステージのRS-25液体燃料エンジンが停止した時点で、宇宙船は時速18,000マイル(約29,000キロメートル)に達し、軌道投入速度を達成。さらに、目標地点への正確な着地を実現した」と報告している。

トイレシステムに課題発生

一方で、ミッション中にトイレシステムに問題が発生したことが明らかになった。打ち上げ直後に尿排出ラインに不具合が生じ、宇宙飛行士のクリスティーナ・コッホ氏が地上管制チームの支援を受けながらトラブルシューティングを行った。NASAは現在、ハードウェアとデータを分析し、問題の原因と対策を検討している。

宇宙飛行士による地球の撮影と健康状態

ミッションのコマンダー、リード・ワイズマン氏は、月周回中に撮影された「地球没(Earthset)」と呼ばれる現象の動画を公開した。これは、50年以上ぶりに有人で直接目にすることとなった光景だ。ワイズマン氏は「宇宙という最も異質な場所から見る地球の入日を、携帯電話で撮影せずにはいられなかった」とコメントしている。

一方で、10日間の宇宙滞在が体に与える影響も顕著だ。コッホ氏は地球帰還後に目を閉じた状態で行う「タンデム歩行」の動画を公開し、微小重力環境が体に及ぼす変化を示した。

今後の展望:2027年の有人月面着陸に向けて

NASAは、アルテミスIIのデータを基に、2027年以降に計画されている有人月面着陸ミッションに向けた準備を進めている。オリオン宇宙船とSLSロケットの性能は概ね良好とされるが、トイレシステムなどの課題解決が急務だ。今後、さらなるテストと改良が行われる予定だ。

出典: Engadget