AI導入の波に抵抗するZ世代

数年にわたり、テック業界のリーダーたちはAIがかつてない規模の技術革命をもたらし、多くの職を奪う可能性を警告してきた。しかし、大規模なレイオフが続くテック業界で生き残ったとしても、従業員はAIを受け入れなければ仕事を失う可能性があると上司から迫られている。こうした状況が、AIに対する不満の高まりに拍車をかけている。

ソーシャルメディアのフィードに溢れるAI生成コンテンツや、顧客サービスの代替として機能するはずのチャットボットの不備など、AIは日常生活のあらゆる側面に浸透しつつある。そんな中、特に顕著な反発が見られるのがZ世代だ。彼らはAI導入の最前線に立たされており、コロナ禍で就職市場が悪化したことで、卒業後の厳しい現実に直面している。

「人間の判断力を奪う技術」に対する拒否感

一般的に若者は新しい技術を好む傾向にあるが、Z世代にとってAIは人間の判断力を奪う存在として受け入れられていない。テック業界から倫理的な懸念を理由に退職したシャロン・フロイスタッター氏は、友人たちがAIを使わないどころか、積極的に反対していると語る。例外はコンピューターサイエンスを学ぶ友人で、彼らはAIの使用を事実上強制されているという。

若者たちがAIに対して抱く懸念は根拠のないものではない。巨大なデータセンターが環境を悪化させているほか、生成AIの普及が批判的思考力の低下を招き、一部の人々を幻覚や妄想に陥らせる危険性も指摘されている。

学術界におけるAI反対運動

AIが教育現場に浸透することへの反発も強まっている。ペンシルベニア大学の学生新聞に掲載された論説「Penn has an AI problem(ペンのAI問題)」では、「AIは教育と共存できない。教育を劣化させるだけだ」と厳しく批判されている。同論説は、技術の進歩と人間の仕事の代替が進む中で、学校が人間の思考を探求する貴重な場となっていると指摘する。

若者たちがAIに幻滅する最大の理由は、その技術的な欠陥を的確に見抜いているからだ。頻繁に起こる「幻覚(ハルシネーション)」や、人間が思考をAIに委ねる「認知的アウトソーシング」の危険性などが挙げられる。

職場でのAI導入を阻止する若者たち

状況はさらに深刻化しており、多くのZ世代が職場でAI導入を阻止する動きに出ている。AI企業ライターと職場知能研究所の調査によると、回答したZ世代労働者の44%が「少なくとも1つの方法で会社のAI戦略を妨害している」と回答した。具体的には、社内の機密情報をチャットボットに入力したり、AIツールの使用を拒否したりするケースが報告されている。

こうした反発は、AIがもたらす倫理的・社会的な問題に対する若者たちの強い懸念の表れだ。彼らは単に新しい技術を拒否するのではなく、その根底にある問題を鋭く指摘し、行動に移している。

「AIは教育を劣化させるだけ。学校は人間の思考を探求する最後の砦なのです」

— ペンシルベニア大学学生新聞「Penn has an AI problem」より
出典: Futurism