米国時間2026年8月、ラスベガスで開催された「Bitcoin Conference 2026」にて、アベンはビットコインを担保としたVisaカード「アベン・ビットコインVisaカード」を発表した。同カードは、暗号資産保有者が資産を売却せずに最大100万ドルのクレジットラインを利用できる革新的な金融商品として、暗号資産と伝統的金融の融合を象徴するサービスとなる。

同カードは、回転型クレジットラインと固定期間の融資オプションを組み合わせ、最大10年の返済期間を設定。金利は年7.99%からと、同社によればビットコイン担保融資市場の平均金利よりも低い水準に設定されている。アベンの最高経営責任者(CEO)であるシスン・リー氏は「業界標準の融資期間は1年だが、当社はそれを10倍に延長し、これまで実現不可能だった幅広いユースケースを可能にした」と述べた。

ビットコイン担保の安全な管理構造

借り手は、連邦規制を受けるデジタル資産信託銀行であるBitGo Inc.とBitGo Bank Trustが提供するカストディサービスを通じてビットコインを担保に差し入れる。資産管理とカード発行は分離されており、後者はCoastal Community BankがVisaネットワークライセンスの下で担当する。この構造により、セキュリティとコンプライアンスが強化されている。

手数料ゼロで2%キャッシュバックも

同カードには年会費や手数料が一切かからず、利用額の2%をキャッシュバックとして還元する。アベンは、ビットコイン保有者が暗号資産の価値を維持しながら伝統的なクレジットサービスを利用できる「資産と信用の架け橋」として位置づけている。さらに、最大5年の利息のみ支払い期間を設定することで、より柔軟な資金計画を可能にしている。

リー氏は「これまでにない最も硬い通貨であるビットコインに、最高の金融商品を提供するのが当社の使命だ。アベン・ビットコインVisaカードは、その第一歩に過ぎない」と語った。

暗号資産融資市場の新たな潮流

ビットコイン担保融資は暗号資産の普及とともに成長してきたが、その一方で担保価格の変動リスクやリスク管理の課題が指摘されてきた。アベンのような固定金利かつ長期の融資構造は、価格変動時に強制清算リスクにさらされるマージンローンと比較して、返済計画の予測可能性を重視する借り手にとって魅力的な選択肢となる。

2019年に設立されたアベンは、資産担保型融資を通じて借り手の金利負担を軽減することを目指す企業だ。同社によると、2026年3月までに顧客は3億ドル以上の金利支払いを削減してきたという。

暗号資産と伝統金融の融合加速

今回のリリースは、暗号資産インフラと規制された金融サービスの統合が進む中で、デジタル資産を主流の信用市場に組み込む動きの一環と位置づけられる。アベンは、リスク管理、資産管理、コンプライアンス要件に対応しながら、暗号資産を活用した新たな金融サービスの提供を目指す企業の代表例と言える。